健康の維持を助けるサプリメントが、本来の役割を果たすためには、安全性が大前提だ。各メーカーは、製造工程を点検し、品質管理の徹底を図らねばならない。
小林製薬が製造した機能性表示食品の「 紅麹べにこうじ 」サプリを飲んだ人に腎臓病の発症が相次いだ問題で、国が原料を調べたところ、本来は含まれていないはずの化合物が3種類見つかった。
その一つであるプベルル酸は青カビから発生する物質で、腎障害を引き起こすことが確認された。問題のサプリが製造された大阪工場からは青カビが検出されており、製造時の異物混入が健康被害につながった疑いが強まった。
サプリには、特定の成分が濃縮されている。毎日のように摂取するため、異物が混入するなどして品質に問題が生じれば、健康被害が起きるリスクは高くなる。
政府は機能性表示食品の制度見直しを決めた。健康被害の情報があった場合は、摂取との因果関係や症状の重さがはっきりしなくても、速やかに行政機関に報告するよう義務づける。
具体的にどのようなケースが該当するのか、事例などをわかりやすく示す必要がある。
政府は品質管理体制の改善策も打ち出した。錠剤やカプセルのような形状のサプリについては品質や衛生の管理方法を示した基準「GMP(適正製造規範)」に沿った製造を義務化するという。
GMPに基づく品質管理を行うかどうかは、これまで企業側の判断に任されていた。小林製薬の大阪工場はGMPに対応していなかった。他のサプリメーカーも、製造工程を改めてチェックし、不備があれば早急に改善すべきだ。
いずれの枠組みにもサプリと呼ばれるような製品があり、機能性表示食品以外でも、同様の健康被害は起こり得る。この機会に、サプリ全般について、品質や安全性を担保できるようなルール整備を検討してもらいたい。
消費者庁の調査によると、国民の多くは、機能性表示食品やトクホが具体的にどのような製品なのか理解していなかったという。
紅麹サプリも、持病のある人が医師に相談せずに使っていた例があった。国やメーカーが適切な使い方を周知することが大切だ。