甘利氏、河井元法相にも100万円提供 買収事件の原資か(2024年5月28日『中国新聞』)

2019年の参院選当時、自民党選挙対策委員長を務めていた甘利氏
 2019年の参院選広島選挙区の大規模買収事件を巡り、河井克行元法相方から政権幹部による多額の現金提供の疑いを示すメモが押収されていた問題。メモに記載があった菅義偉官房長官二階俊博自民党幹事長、甘利明選挙対策委員長(いずれも肩書は当時)は2023年9月、現金提供の有無について中国新聞の取材に答えた。甘利氏は認め、菅氏と二階氏は否定した。
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【チャートで見る】河井元法相の大規模買収事件を巡るカネの流れ
 関係者によるとメモはA4判。「+(プラス)現金6700」「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」と手書きされていた。「総理」は安倍晋三元首相(昨年7月に死去)、「すがっち」は菅氏、「幹事長」は二階氏、「甘利」は甘利氏とみられる。
 検察当局は、数字は4人が提供した金額を万円単位で克行氏が書いたと分析。この4人から計6700万円の現金提供を受け、広島県内の地方議員や後援会員に配り回った可能性があるとみて、克行氏を追及したが、捜査は進展しなかったもようだ。
 100万円を渡したとされる甘利氏は「選対委員長として陣中見舞いで届けた。党からのお金だった」と現金提供を認め、他の参院選候補者にも一律に配ったと説明した。買収に使われる認識はあったかどうかは「おれに聞かれても分かんねえよ」と答えた。
 菅氏は、克行氏への500万円の現金提供について「そんなことあるわけがない」と否定。「すがっち」と呼ばれていたかどうかについて「知らない」と述べた。
 二階氏は、3300万円を提供した疑惑について「そんなことあるわけないじゃない。証拠だってあるのかい」と強調した。買収の原資になった疑いがあると検察当局がみている点を尋ねると「冗談じゃないよ」と色をなして反論。克行氏の妻で参院選に立候補した案里氏(有罪確定)について「案里っていったい何者なのよ」とも語った。
 買収の資金に関し克行氏は自身の公判で「手持ち資金を使った」と供述していた。中国新聞は、政権中枢から提供された裏金が買収に使われた疑いがあるとの情報を得て、関係者への取材を続けてきた。