令和6年度「65歳以上の介護保険料」が値上げって本当?引上げの自治体が多い傾向に(2024年5月25日『LIMO』)

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写真:LIMO [リーモ]
2024年度(令和6年度)から、介護保険の第2号被保険者の平均保険料は、月額6276円(前年度は6216円)に引き上げられる見込みです。
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では、65歳以上の第1号被保険者の保険料はどうなるのでしょうか。
本記事では、65歳以上の介護保険料の令和6年度改定について解説します。
保険料の計算方法についても解説しますので、今後の家計収支を考えるときの参考にしてください。
※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
要介護者の増加により介護保険料は増加傾向
高齢化の進展に伴い要介護者は増加しており、それに伴い介護保険料も年々アップしています。
要介護者と介護保険料の推移について確認しておきましょう。
●要介護者・要支援者の推移
厚生労働省「令和3年度 介護保険事業状況報告(年報)」によると、2021年度の要介護と要支援の認定者数は約690万人で、公的介護保険制度がスタートした2000年度から約2.7倍に急増しています。
介護保険料の推移
要介護者・要支援者の増加とともに、介護保険料もアップしています。
保険料は第1号保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40~64歳)で異なります。
第2号被保険者の保険料は毎年改定されますが、第1号被保険者の保険料は3年毎に改定されます。
第9期となる令和6年度は、第2号保険料が月額6276円見込みとされており、公的介護保険制度開始の2000年度(平成12年度)と比較して、保険料は2倍以上です。
第1号被保険者の保険料は市区町村によって異なりますが、第2号被保険者と同水準になるように設定されるため、2024年度の保険料はアップする自治体が多くなりました。
介護保険料は所得によって異なる
前述の第1号被保険者の保険料推移は各市区町村が定める「基準額」の平均金額で、実際の保険料は、各基準額を基に所得などによって異なります。
低所得者の負担を軽減する一方、高所得者の保険料は高くなります。
所得による区分は、市区町村によって異なります。
2024年度から国の標準段階は、9段階から13段階へと改訂されました。
所得による保険料の格差を大きくして、低所得者の保険料上昇を抑えるためです。
介護保険料の推移と計算方法について解説してきましたが、次章では2024年度の介護保険料は実際にいくらになるかについて解説します。
2024年度の介護保険料(第1号被保険者)
主な都市の2024年度の介護保険料は次の通りです。
●東京都新宿区の介護保険
東京都新宿区の第1号被保険者の介護保険料(基準額)は、月額6400円から6600円に200円アップします。
また、所得による区分を16段階から18段階に変更しています。
世帯全員が住民税非課税、所得が年金のみで、年金所得が120万円以下(年金収入230万円以下)ならば介護保険料は月2310円で済みます。
一方、一定以上の所得がある人は保険料が1万円を超える(最大3万8280円)こともあります。
なお、東京都の市区町村の基準額の平均は月6320円で、大半の市区町村で保険料が引き上げられました。
 ・保険料引き上げ:46市区町村
 ・保険料変更なし:12市区町村
 ・保険料引き下げ:4市区町村
大阪市介護保険料(基準額)は、月額8094円から9249円にアップします。
新宿区と比較した場合、大阪市は元々保険料水準が高い上に保険料が大きく増えたため、保険料に2600円もの差が生じました。
介護保険料は地域ごとの介護サービスに必要な費用と65歳以上人口をもとに計算されるため、地域によって保険料が大きく異なることもあります。
介護保険料の確認方法
介護保険料は市区町村によって異なります。
保険料は市区町村から送付される「保険料決定のお知らせ」などで通知されますが、居住地の地方公共団体ホームページでも確認できます。
高齢化と要介護者の増加で介護保険料は今後も上昇傾向に
第1号被保険者(65歳以上)の介護保険料は3年ごとに改定され、2024年度が改定時期に当たります。
保険料は居住する市区町村や所得によって異なり、市区町村ごとの基準額を基に、所得に応じて介護保険料を計算します。
高齢化と要介護者の増加により介護保険料は今後ともアップし負担感も高まることが想定されるため、老後の家計収支計画を立てるときは考慮が必要です。
参考資料
 ・厚生労働省「令和6年度介護納付金の算定について(報告)」
 ・金融広報中央委員会介護保険制度のしくみ」
 ・厚生労働省「第9期計画期間における介護保険の第1号保険料について」
西岡 秀泰