介護保険料の上昇 予防の取り組み活性化を(2024年5月21日『産経新聞』-「主張」

キャプチャ

介護保険でリハビリをする高齢者ら(一部画像を加工しています)

 65歳以上の高齢者が支払う介護保険料が見直され、令和6~8年度は全国平均で過去最高の月額6225円となった。
 見直しは3年に1度で、5年度までの3年間と比べ211円の上昇である。高齢者数の増加や、介護職の処遇改善のために介護報酬を引き上げたことが影響した。
 保険料は今後も上がり、団塊ジュニア世代が65歳以上になる22(2040)年度には、全国平均が約9千円になるとも予想されている。高齢者の負担は大きく、このまま上昇するのを放置してはならない。
 介護保険の運営主体である市区町村は、適切なサービスが提供されているかを不断に検証し、必要に応じて給付を見直してもらいたい。厚生労働省は市区町村の取り組みを助けて好事例を横展開し、保険料の適正化につなげるべきだ。
 介護保険料は、市区町村が住民の年齢構成や需要を把握し、地域に応じたサービス計画を作って料金を設定する。
 今回、保険料が全国で最も高かったのは大阪市の9249円で、大阪府守口市門真市が続く。最低は東京都小笠原村の3374円で、3倍近くも開きがあった。
 大阪府では高齢者のうち、要介護と認定される人の比率が全国平均より高い。それがサービスの全体量を押し上げている可能性がある。
 保険料の抑制に向け、鍵となるのは各自治体が進める介護予防の取り組みだ。要介護度の軽い人らを対象に体操教室やサロンなどを開き、重度化を遅らせている。こうした活動により保険料の引き下げを達成した自治体もある。
 ただ、新型コロナウイルス禍では人が集まることが困難になり、活動が縮小した。その間に要介護度が進んだとの指摘もある。各自治体は、活動再開と活性化に努めてほしい。
 制度改革も引き続き検討が必要だ。厚労省は今年度、支払い能力に応じた負担を強めるため、保険料を課す所得段階をさらに細分化した。
 他にも、ケアプラン作成の有料化、利用者負担の引き上げ、現在は40歳以上を対象としている被保険者の範囲の見直しなど課題が山積している。政府与党は、抜本改革に向けた議論を避けてはならない。