デートで“食事代払う気なし”は「DV」? 神戸・須磨の高校で人権教室実施 具体例から考え自分事に(2024年12月14日『ラジトピ ラジオ関西トピックス』)

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デートDVって何?」今年から共学校に変わった神戸・須磨区滝川高校で人権教室
 12月10日は「世界人権デー」でした。1948(昭和23)年12月10日、国連で世界人権宣言が採択されたことを記念して制定されたもので、日本では12月4日から10日までの1週間を「人権週間」として、毎年全国的に人権啓発活動が展開されます。
 兵庫県内でも毎年さまざまな活動が行われますが、その一方で、年間を通じて実施する人権啓発活動の一環として、法務省による「人権教室」が各地で開催されています。11月6日には、今春男子校から共学校に変わった滝川高等学校(神戸市須磨区)で神戸市の人権擁護委員による人権教室が実施され、高校生たちが人権問題について考えました。
 同校では学年ごとに人権教室が開かれています。今年度3回目となった今回は、1年生を対象に『考えよう、デートDV~よりよい関係をつくるために~』をテーマとして実施され、279人が参加しました。
 人権教室は、神戸人権擁護委員協議会の人権擁護委員・中嶋展也さんによる、「人権とは、人間が人間らしく生きられる権利で、生まれたときから当然持っているもの」との説明から始まりました。
 講師を務めたのは同委員の安藤純子さん。デートDVの具体的な3つのケースについて映像を見せながら解説しました。高校生が“自分事”として捉えられるよう、過剰な独占欲を持っている男子高校生や、食事代を払ってもらうことを当たり前と考える女子高生などが登場するストーリー仕立てで解説しました。
 なかには、会うたびにキスを求めてくる交際相手から裸の写真を要求されるなど、ショッキングな展開も。生徒からは、「キスを強要するシーンや暴力を振るうシーンが強く印象に残って、強要されることはこわいなと思いました」との感想が聞かれました。
 人権教室に参加した生徒の多くは「交際相手がいないので実感がない」ものの、「いま関係のない僕たちが見たら『ありえない』と思うけれど、恋をする立場になると、そういう(さまざま求めるような)ことを言ってしまうのかもしれないと思った」と話し、遠くない未来に起こるかもしれないこととして素直に学ぼうとする姿勢が伝わってきました。
 生徒らの様子に触れた安藤さんは、「生徒らの反応を見て、デートDVはいま、高校生にとっても大きな問題になっていると感じました」としたうえで、「非常に身近で深刻な問題なので、“デートDVとは何か”、“デートDVを受けた場合はどうしたらいいのか”ということを伝えたい」と、人権教室の意義について改めて語りました。
 さらに「人権擁護委員が相談を受け付けていることも知ってほしい」と話した安藤さん。「相談所の存在を知ってもらうためには、まずは興味を持ってもらわなければならない」といい、人権教室を行うことの重要性を説きました。
ラジオ関西『ニュースの景色』より

「恋人に部活動欠席を強要」ってDV? 高校生が身近な事例から人権問題を考える講座 兵庫県太子町で(2023年11月26日『ラジオ関西』)
 
 すべての人が生まれながらにして持っている、社会で自分らしく幸福に生きていく権利「人権」。現代社会では、いじめ、虐待、差別といった、人権に関わる課題がさまざまあります。特に最近では、インターネット上の誹謗中傷やデートDVなど若い世代に関わる問題も多くなっていることから、若年層への啓発活動も積極的に行われています。
 10日には兵庫県太子町内の高校で、人権擁護委員による講座「人権教室」が開かれ、高校生たちが身近な事例を通して人権問題について考えました。
 参加したのは、兵庫県立太子高等学校の1年生187人です。テーマは「男女の対等な関係を築くために~デートDVSNSトラブル」。講師は、人権擁護委員の一人で、兵庫県人権擁護委員連合会・兵庫男女共同参画委員会委員長でもある中村薫さんが務めました。中村さんは、学生にも身近に起こり得る人権侵害の事例を挙げ、若いうちから人権意識を高め、人権問題を自らの課題として捉えて行動する大切さを伝えました。
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太子高校での人権教室の様子
 事例の一つ「デートDV」とは、恋人間で起こるDV(ドメスティックバイオレンス)を指します。身体への直接的な加害だけでなく、行動の制限や強要、精神的苦痛を与える言葉の暴力なども含みます。たとえば、「明日は部活動があるから一緒に過ごせない」という恋人に「自分と過ごすのが優先だ」と主張し、相手の意思に反して部活動を休ませる行為はデートDVにあたります。
 このような、主に10代~20代に起こり得る具体的なケースを紹介したところ、生徒からは「自分が被害者はもちろん、加害者にもなる可能性があると思いました」という感想が聞かれたとのことです。
 教室を終えた中村さんは、「熱心に話を聞いてもらえました。将来自分の身を守るためにも、皆さんに人権問題を“自分事”として考えてほしい。そして、自分より上の世代にも自分の意見をしっかり言えるような若者を育てていきたいと思っています」と話しました。
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人権教室の講師を務めた中村薫さん
 また、このような人権問題に直面した際、すぐそばに相談できる人がいることも知ってほしかったと言います。人権擁護委員は全国の市区町村に配置され、現在約1万4000人が活動しています。兵庫県内では神戸地方法務局で相談を受け付けており、県内に12か所の常設相談所があります。中村さんは、「法務局はハードルの高い場所ではありません。“地域のおじさん”に話してみよう、と気軽に相談所を利用していただけるように、今後も人権教室を開催していきたいと考えています」と語りました。
ラジオ関西『NEWS TIMELINE(ニュース・タイムライン)』2023年11月14日放送回より