次期衆院選に向け、自民党島根県連が候補者選定に向けて動き出す。4月28日投開票の島根1区補選で落選した錦織功政氏(55)は水面下で立候補に意欲を示す一方、立憲民主党候補に完敗しただけに異論もある。自民県連は補選を総括した上で早期に道筋を付けたい考えだが、派閥の政治資金パーティー裏金事件による党への逆風が続き、候補者選定は難航しそうだ。
16日の山陰中央新報社の取材に対しても「今は何も申し上げることはない」と述べるにとどめた。一方、党所属の地方議員に再挑戦への意欲を伝えており、県連内でも立候補の意思があるとの認識が広がっている。
慎重に協議すべき
松江市議の1人は中央政界での「政治とカネ」の問題を敗因に挙げ、「党におきゅうを据えるという投票行動があった。候補者は悪くない」と擁護し、再挑戦に理解を示す。
一方、異論もある。「次の総選挙の候補者選定は慎重に協議すべきだ」。2日に松江市内であった党所属県議が集まった会合で出席者から意見が出た。
尾を引く政治とカネ
県連は次期総選挙に向け、今月上旬に地域支部や職域支部にアンケートを送付。補選の敗因を総括した上で候補者を決める考えで、県連大会は7月28日に予定する。絲原徳康幹事長は「いつ選挙があるか分からない。早めに決めないといけない」と強調する。
国政では政治とカネの問題が尾を引く。6月の通常国会会期末で衆院解散に追い込みたい野党が攻勢を強める中、県連幹部の1人は「6月解散になったら錦織氏しかいない。ただ、それ以降であれば県連大会が選定のめどになる」との見方を示す。
昨年末の補選の候補者公募は、錦織氏のほかに水面下で複数、名乗りを上げる動きもあった。県連は、次期衆院選に向けて候補者を公募するかどうかなど具体的な選定方法は今後調整する考えだ。
共同通信社が今月11~13日に実施した世論調査で裏金事件を受けた政治資金規正法改正の与党案を「評価しない」との回答は79・7%に上った。地域支部や職域支部のアンケートで、次期衆院選までの裏金問題の決着や早期に候補者を選定するよう求める意見が寄せられているという。
党木次支部の吾郷広幸支部長は「党本部の改革の動きは鈍く、どんどん信頼がなくなる。1年やそこらで逆転できるくらいの差ではない」と指摘。次期衆院選に向けては「組織がしっかりしないと、候補を替えたところで同じ結果になる」とくぎを刺した。
グループ勉強会に17人
自民党の石破グループが16日夕、東京・永田町の国会内で勉強会を開き、国会議員17人が参加した。派閥の政治資金パーティー裏金問題で党勢低迷が続く中、石破茂元幹事長(衆院鳥取1区)は報道各社の世論調査で「ポスト岸田」候補でトップに立ち、党内には9月の総裁選を視野に入れた動きとの見方がある。今後の動向に注目が集まりそうだ。
今年2月、約8カ月ぶりに勉強会を開き、15人が出席。2回目の3月は16人だった。今回参加した国会議員17人のうち、グループ別は石破グループが本人を含めて7人、二階派5人、茂木派2人、麻生、安倍各派1人、無派閥1人だった。
勉強会は非公開。「石破茂先生に10の質問」をテーマに、国会議員になった理由や若手時代の農林水産や防衛分野への取り組み方などの質問があったという。出席者の1人は「政局より人柄を聞く会だった」と振り返った。
石破氏は勉強会後、総裁選に関して質問が出たかどうかを記者団から問われ、「全然ない。そんな分かったような質問は誰もしない。みんなプロだ」と答えた。