岸田首相率いる自民党は世論の支持を取り戻せるのか
【ニュース裏表 安積明子】
2日投開票された東京都港区長選で、自民、公明両党が推薦した無所属現職の武井雅昭氏(71)が落選し、前港区議の無所属新人、清家愛氏(49)が当選した。
港区民は6期目を目指した区長に「NO!」を突き付けたわけだが、背景に「自民党不信」が存在することは間違いない。
5月26日に投開票された広島県府中町長選はさらに悲惨だった。引退表明した町長が後継指名し、自公両党や連合広島が推薦した川上翔一郎元町議(37)は3385票しか得られず、6242票を獲得した無所属新人の寺尾光司元町議(65)にボロ負けした。
広島県関係者がその内実を打ち明ける。
要するに、川上氏は、岸田首相の「息がかかった」候補だったということになる。しかも、同町は次の衆院選から岸田首相が支部長の広島1区に入る。川上氏の出陣式には岸田首相の長男、翔太郎氏も応援に駆けつけたが、大負けした。岸田首相にとっては、いかにもばつが悪い。
4月の目黒区長選や衆院東京15区補選、5月の目黒区の都議補選では、小池知事が応援した候補が落選し、神通力に陰りが見える。
この日は午後から雨が降り、福山哲郎元幹事長は「雨の船出は吉兆」とX(旧ツイッター)にポストし、蓮舫氏にエールを送った。蓮舫氏の名前が「蓮の花をつないだ船」を意味することにちなんだものかもしれないが、船に降り注ぐのは慈雨とはかぎらない。
「雨男」で知られる枝野氏が演説を始めると、内容が聞き取れないほど雨脚が激しくなり、聴衆は傘をさしてもずぶ濡(ぬ)れになった。さながら、「嵐の船出」となったわけだが、これからの「戦い」を暗示するものなのか。一人の有権者としては、都政が嵐に巻き込まれないことを祈るばかりだ。 (政治ジャーナリスト・安積明子)