「連敗の自民」が岸田首相のお膝元でも 自公推薦候補、無所属新人に悲惨なボロ負け 都知事選にも嵐の予感(2024年6月7日『夕刊フジ』)
 
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岸田首相率いる自民党は世論の支持を取り戻せるのか
【ニュース裏表 安積明子】
2日投開票された東京都港区長選で、自民、公明両党が推薦した無所属現職の武井雅昭氏(71)が落選し、前港区議の無所属新人、清家愛氏(49)が当選した。
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次期衆院選での「政党議席予測」(5月27日時点)
港区民は6期目を目指した区長に「NO!」を突き付けたわけだが、背景に「自民党不信」が存在することは間違いない。
最近の選挙で、自民党は連敗を続けている。4月の衆院3補選をはじめ、目黒区長選や同区の都議補選、そして静岡県知事選でも、推薦した候補らが敗退した。
5月26日に投開票された広島県府中町長選はさらに悲惨だった。引退表明した町長が後継指名し、自公両党や連合広島が推薦した川上翔一郎元町議(37)は3385票しか得られず、6242票を獲得した無所属新人の寺尾光司元町議(65)にボロ負けした。
広島県関係者がその内実を打ち明ける。
「川上氏に町長選出馬を勧めたのは、広島県議会議長を務める中本隆志県連会長代理だ。中本氏は岸田文雄首相の亡父、文武氏の秘書をしていたこともあって岸田首相と近く、川上氏を官邸に連れていったこともある」
要するに、川上氏は、岸田首相の「息がかかった」候補だったということになる。しかも、同町は次の衆院選から岸田首相が支部長の広島1区に入る。川上氏の出陣式には岸田首相の長男、翔太郎氏も応援に駆けつけたが、大負けした。岸田首相にとっては、いかにもばつが悪い。
一方、自民党が東京都内の選挙戦で頼りにしてきた小池百合子都知事も苦境にいる。
4月の目黒区長選や衆院東京15区補選、5月の目黒区の都議補選では、小池知事が応援した候補が落選し、神通力に陰りが見える。
こうしたなか、都知事選に立候補する立憲民主党蓮舫参院議員は2日、同党の枝野幸男元代表とともに、東京・有楽町駅前で出馬表明後初めてマイクを握り、意気揚々と「反自民・非小池都政」を訴えた。
この日は午後から雨が降り、福山哲郎元幹事長は「雨の船出は吉兆」とX(旧ツイッター)にポストし、蓮舫氏にエールを送った。蓮舫氏の名前が「蓮の花をつないだ船」を意味することにちなんだものかもしれないが、船に降り注ぐのは慈雨とはかぎらない。
「雨男」で知られる枝野氏が演説を始めると、内容が聞き取れないほど雨脚が激しくなり、聴衆は傘をさしてもずぶ濡(ぬ)れになった。さながら、「嵐の船出」となったわけだが、これからの「戦い」を暗示するものなのか。一人の有権者としては、都政が嵐に巻き込まれないことを祈るばかりだ。 (政治ジャーナリスト・安積明子)