岸田首相襲撃事件から1年 被告は一貫して黙秘 裁判が焦点に(2024年4月15日『NHKニュース』) 和歌山市で選挙の応援に訪れていた岸田総理大臣の近くに爆発物が投げ込まれた事件から15日で1年です。総理などに対する殺人未遂など5つの罪で起訴された被告の裁判が始まる見通しは立っていませんが、これまで黙秘を続けていて、今後の裁判でどのような主張をするのかが焦点となります。 去年4月15日の午前、和歌山市の雑賀崎漁港で衆議院の補欠選挙の応援に訪れていた岸田総理大臣の近くに、爆発物が投げ込まれた事件から

和歌山市で選挙の応援に訪れていた岸田総理大臣の近くに爆発物が投げ込まれた事件から15日で1年です。総理などに対する殺人未遂など5つの罪で起訴された被告の裁判が始まる見通しは立っていませんが、これまで黙秘を続けていて、今後の裁判でどのような主張をするのかが焦点となります。

去年4月15日の午前、和歌山市雑賀崎漁港で衆議院補欠選挙の応援に訪れていた岸田総理大臣の近くに、爆発物が投げ込まれた事件から15日で1年となります。

現場で逮捕された兵庫県川西市の無職、木村隆二被告(25)は岸田総理大臣や聴衆などに対して手製の爆発物を投げ込んで爆発させ、2人にけがをさせたうえ、街頭演説を妨害したとして、総理などに対する殺人未遂と、爆発物取締罰則違反、それに公職選挙法違反など5つの罪に問われています。

当時、爆発物が投げられた時に岸田総理大臣が立っていた付近は今は、いすや机がならび、漁業者らが休憩する場所となっていますが、60メートル余り離れたコンテナには爆発物の一部が突き刺さった跡が残っています。

検察などによりますと、被告は一貫して黙秘を続けていたということです。

まだ、裁判が始まる見通しは立っていませんが、裁判員裁判で審理されるとみられ、今後、木村被告が事件についてどのような説明や主張をするのかが焦点となります。

この事件で、警察庁は警察と応援演説の主催者側との間で綿密な協議が行われず、警護計画に実効的な安全対策が盛り込まれなかったことで事件の発生を許したと結論づけ、主催者側への働きかけなど、隙のない警護・警備に向けた対応を見直しています。

被告の父親 心境語る

事件から1年となることについて木村被告の父親がNHKの取材に応じ「父親として1年たった今も心に傷は残っている」と心境を語りました。

父親は勾留されている木村被告に生活必需品の購入に使ってもらおうと、現金を送っているということです。

父親は、家族と別居していたため木村被告とは高校生のころから会っておらず、事件のあとも面会に行っていないということで「動機はわからない」と話していました。

現場は漁業者の日常風景 

事件から1年となり、現場となった和歌山市雑賀崎漁港では、15日午前、漁業者が網の補修をしたり、船の整備をしたりするなどの日常風景が見られました。

30代の漁業者は「事件があったことはショックだが、今は事件のことを思い出すことはない」と話していました。

また、60代の漁業者は「当時はこんなことが現実に起こるのかと驚いた。どういう気持ちで何のためにやったのかと疑問に思う」と話していました。

官房長官「選挙活動と安全確保を両立」

官房長官は午前の記者会見で「民主主義の根幹をなす選挙の中での暴力行為は断じて許されるものではない。街頭演説は当事者の主張を国民が直接聴くことができる点で重要な意義を持つものであり、選挙活動と警護対象者・聴衆の安全確保を両立させるため、引き続き警察や主催者などと連携を図り国民の理解と協力の確保に努めていく」と述べました。