「脳梗塞を発症しても助かるのは動脈硬化リスクの低い人」専門家が推奨する血管を若返らせる生活習慣と食べ物(2024年5月8日『介護ポストセブン』)

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痛みに対してがまん強い女性は、一刻を争う病気だとは思わずに治療が遅れる場合もあるので要注意
 血管がつまって起こる脳卒中心筋梗塞は、日本人の死因上位を占める。こういった血管病は、実は健康にみえてもなんらかのSOSを体が発していることも多く、脳卒中なら言語障害や手足のしびれ、心筋梗塞なら吐き気などの消化器症状が出たりなどさまざまな「予兆」がある。「予兆」を見逃さず、国民病ともいえる「血管死」から身を守るための対処法を医師が解説する。
 
教えてくれた人
平野照之さん/杏林大学医学部教授、大塚亮さん/循環器専門医・おおつか医院院長、室井一辰さん/医療経済ジャーナリスト、渡辺尚彦さん/日本歯科大学病院内科客員教授
血管がつまっても助かる人の共通点
 予兆に気づき、迅速な対応をとることも重要だが、そもそも病気になりにくい体を作っておけばさらに安心だ。そのためには生活習慣を見直し、若々しく健康な状態に血管を保つべし。
脳梗塞の発症から24時間経っても回復しやすい人は、動脈硬化のリスクが低い人だといわれています。つまり生活習慣を見直して健康な生活をしていれば、いざというときに助かる可能性が高くなる」(杏林大学医学部教授で脳卒中の治療に詳しい平野照之さん)
 まずは、血圧と体重を適正にコントロールすること。
「食べたカロリーを消費するには、ウオーキングなどで体を適度に動かすといい。1日7000~8000歩が目安です」(平野さん)
 カロリーとともに、食べる内容にも気を配ろう。
「血液中にあるアミノ酸『ホモシステイン』値が高い人は血管系の病気をしやすいといわれています。ホモシステインを下げるにはビタミンB6やB12、葉酸が豊富な豚肉、鶏肉・貝、緑黄色野菜をしっかり摂るといい。加えて青魚に多く含まれるDHAEPAは、血管の内膜にある内皮細胞を整え、血液を固まりにくくし、しいたけの『エリタデニン』は、血圧を下げて血栓を作りにくくする作用があります」(おおつか医院院長で循環器専門医の大塚亮さん)
 忙しくて食事に気を使えないときは、悪いものを食べないことだけ意識しよう。
「いい食材を食べても、ほかにたくさん体に悪いものを食べていたら意味がありません。“体にいいものをたくさん食べよう”と足し算でがんばるよりも、“悪いものを食べない”という引き算をした方がトータルで効果があります」(医療経済ジャーナリストの室井一辰さん)
 加えて意識すべきは、ストレスはできるだけ減らすように心がけること。
「ストレスを受けると交感神経が刺激されて、血圧が上がりやすい。笑うとストレスが減るので、私は患者さんとの会話にギャグを挟むようにしています。ストレスを減らすには、睡眠も大切です」(日本歯科大学病院内科客員教授で高血圧に詳しい渡辺尚彦さん)
 病気は完全に避けられるものではない。しかし、ちょっとした気づきや努力で運命が変わることもある。
9つの生活習慣」と「7つの食べ物」で血管を若返らせよう!
 
【生活習慣1】食生活を見直す
 
 脂質や糖質、塩分が多い食事を避ける。
【生活習慣2】お酒はたしなむ程度に
 アルコールは1日20gまでなら脳卒中のリスクが低下するとされている。ビールなら中瓶1本、ワイングラスなら2杯が該当する。
【生活習慣3】禁煙する
 たばこはハイリスク。副流煙もNGなので、家族に喫煙者がいたらやめてもらう。
【生活習慣4】運動する
 体を動かすことで血管が刺激されて血流がよくなり、血栓が減る。女性なら1日7000~8000歩程度は歩くように。
【生活習慣5】お風呂に入る
 血管を広げて血流を促す一方で、お湯が熱すぎると血栓が発生しやすくなるのでお湯の温度は41~42℃にする。
【生活習慣6】適正体重を維持する
 肥満は血管病のリスクを上げるため、BMI25未満を保つ。
【生活習慣7】血圧を毎日測る
 血圧を朝晩2回測り、数値を常に把握しつつ月に1回、逆側の腕で血圧を測る。左右で20mmHg以上の差がある場合、動脈硬化が進んでいる可能性がある。
【生活習慣8】睡眠時間を確保する
 睡眠不足は高血圧のリスクになる。
【生活習慣9】ストレスをためない
 おしゃべりをしたり笑うとストレスが解消され、血圧が安定する。
【食べ物1】青魚  
 DHAEPAの良質な油分には血液の循環をよくする働きがある。
【食べ物2】豚肉
 ビタミンB6が心血管疾患の危険因子である「ホモシステイン」の濃度を薄める。
食べ物3】鶏肉・貝
 ビタミンB12が「ホモシステイン」の濃度を薄める。
【食べ物4】野菜全般
 キャベツなど葉物野菜に多く含まれる葉酸が「ホモシステイン」の濃度を薄める。また緑黄色野菜に含まれる、抗酸化作用が強いビタミンAやビタミンCには血管を守る働きが。
【食べ物5】納豆
 納豆に含まれる酵素「ナットウキナーゼ」が血栓をできにくくする。
【食べ物6】玉ねぎ
 辛み成分「硫化アリル」が血液の凝固を防ぐ。
食べ物7】しいたけ
 特有の成分「エリタデニン」には血圧・悪玉コレステロール値を下げる効果が。
 
写真/PIXTA
 
※女性セブン2024年5月2日号
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