カナダやオーストラリアには…(2024年5月5日『毎日新聞』-「余録」)

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今年初の真夏日で水遊びをする子どもたち=前橋市内で2024年4月28日午後2時34分、庄司哲也撮影
 
 カナダやオーストラリアには、5~17歳の子どもに向けた「24時間行動ガイドライン」がある。バランスの良い生活を送るため、身体活動や睡眠について、それぞれ目標時間が設けられている。課題の一つは、スマホやテレビ、ゲーム機などに接するスクリーンタイムの増加だ。余暇時間のうち、1日2時間未満に抑えることが推奨されている
▲日本にも共通するテーマだろう。東京都の調査によれば、都内の小学生の35・1%、中学生の84・8%、高校生の92%がスマホを持っているという。青少年への普及が進み、SNSの発達によって接触時間は増すばかり。現代の生活習慣を考えれば、減らすのは簡単ではない
▲睡眠時間に与える影響も少なくない。厚生労働省は小学生なら9~12時間、中高生は8~10時間を目安に挙げる。だが、どれだけの子どもが確保できているだろうか
▲「特に中高生の睡眠不足は大きな問題」と話すのは、青少年のメンタルヘルスを研究する日本体育大の城所(きどころ)哲宏准教授だ。眠りの質の低下は精神の不調にもつながる。そこで近年、国際的に提唱されているのが「スクリーンタイムからグリーンタイムへ」の転換だ
▲「特に中高生の睡眠不足は大きな問題」と話すのは、青少年のメンタルヘルスを研究する日本体育大の城所(きどころ)哲宏准教授だ。眠りの質の低下は精神の不調にもつながる。そこで近年、国際的に提唱されているのが「から」の転換だ
▲緑に親しむ登山や森林浴でなくてもいい。校庭や公園に出て太陽の光を浴びる時間を増やすだけで、睡眠ホルモンが分泌されて眠りが改善され、スクリーンタイムも自然と減っていくという
▲「心の健康」を保つヒントでもある。子どもも大人も、グリーンタイムを楽しむ余裕を大切にしたい。