OECD閣僚理事会の関連会合で演説する岸田首相=2日、パリ(共同)
日本は今年、OECDに加盟して60周年の節目を迎え、10年ぶりに議長国を務める。岸田文雄首相は2日、年に1度の閣僚理事会で演説し「『共通の価値』を持つOECDが非加盟国に手を差し伸べることが重要だ」と訴えた。
その際にカギを握るのが、OECDに加盟していない国や地域の協力をどう取りつけるかだ。首相が演説で強調したように、価値観の一方的な押しつけをせず、相手国の事情に寄り添う姿勢が欠かせない。
世界経済に占めるOECD加盟国の割合は、かつて8割を超えていた。OECDは先進国クラブと呼ばれ、そこで決まったことがそのまま世界貿易機関(WTO)や国連機関のルールになっていた面は否めない。途上国が不満を募らせたのは当然だ。
こうした仲間の輪をさらに広げていきたい。日本にはOECDとアジアなどの非加盟国を橋渡しする責務がある。
国際秩序の変更を試みる中国と向き合ううえでも、自由で公正な経済成長を掲げるOECDの役割は大きいはずだ。