金融政策決定会合の議事要旨を公表した日銀
議事要旨によると、中小の賃上げの動きについて「中小企業を含め、幅広い企業で賃上げの動きが続いている」との楽観的な見方を大方の委員で共有した。中小の賃上げ率は大企業の動向を見極めて決定するといった意見や、大企業の高水準の賃上げを受けて人材確保の観点から中小企業でも賃上げが期待されるといった声が相次いだ。
一方で、委員の1人は「人件費上昇の価格転嫁の状況などを確認する必要がある」とくぎを刺す場面もあった。
採決時には、中村豊明委員が大企業に関係する上場投資信託(ETF)の新規購入終了には賛成しつつも、マイナス金利政策は業績回復が遅れている中小企業の賃上げ余力が高まることを確認するまで継続するべきだとして反対した。
3月会合には植田和男総裁のほか副総裁2人、審議委員6人の計9人が出席。マイナス金利政策をやめ、政策金利にあたる「無担保コールレート翌日物」を0〜0.1%程度とすることを賛成多数で決めた。長期金利を低く抑える長短金利操作の撤廃やETFの新規購入の終了も決めるなど、金融政策正常化を始める歴史的な転換点となった。(山田晃史)
金融政策決定会合の議事要旨 日銀総裁と2人の副総裁、6人の審議委員の計9人が多数決で金融政策を決める会合の要旨。会合の1~2カ月後に公表される。発言者は「委員」とのみ表記され、匿名となっている。10年後に年2回、半年分をまとめて公表される「議事録」では、会合でのより詳細なやり取りが明らかにされ発言者の実名も記される。
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