東京都品川区は30日、区立小中学校計23校の校庭から、金属製のくぎなど5075本と、ガラス片など2719個が見つかったと発表した。区は昨年5月の目視点検でくぎなど17個を除去したが、今年1月に区立小で児童が負傷した事故を受け、金属探知機を使って改めて点検していた。
東京都品川区の小中学校校庭で見つかった金属製のくぎやペグ=品川区提供
調査は2~3月、天然芝や土の校庭のある23校で実施し、全校でくぎなどが見つかった。金属探知機が反応したところを深さ10センチまで掘り、くぎなどを除去。校庭にラインを引く目印に埋めるU字形の金属製ペグが多かった。
杉並区で昨年4月、小学校校庭に突き出たくぎで児童が負傷した事故を受け、品川区は区立の小中全46校の校庭を目視点検し、くぎなどを除去。ただ発端となった事故が「他区で起きたことだったため」(区広報担当者)、より精度の高い金属探知機による調査は行わなかったという。
しかし今年1月、区立小の校庭に埋まっていたペグで、児童が膝を切るけがをしたため、23校で再点検していた。区は「金属製のペグやくぎなどの使用を原則禁止とするなど、再発防止に努める」としている。(梅野光春)
校庭のくぎ問題 2023年4月、東京都杉並区の荻窪小学校で、体育の授業中に転んだ児童が校庭から出ていたくぎで左膝付近を十数針縫うけがを負った。文部科学省は同5月12日、全国の教育委員会に安全点検の徹底を通達。江戸川区の区立小中学校などで計2万8000本のくぎが見つかるなど、各地で同様の事例が明らかになった。日本スポーツ振興センター(JSC)の記録によれば、2019〜21年度に、くぎによる事故は150件あった。