犯罪被害者給付金の支給対象に事実婚状態の同性カップルも含まれるとの初判断を示した26日の最高裁判決は、犯罪被害者らの被害の軽減と、早期の生活再建を目的とした犯罪被害者等給付金支給法(犯給法)の立法趣旨を重視し、同性カップルも受給対象に含まれるとの解釈を導いた。同性カップルが性別を理由に不利益を受けている他制度でも今回と同様の解釈が可能か、国は検討を迫られそうだ。
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国民年金法では、遺族基礎年金や寡婦年金の支給対象に事実婚パートナーを含むと規定。健康保険法や育児・介護休業法でも、保険給付や介護休業を申請できる対象に事実婚パートナーが含まれている。
だが、民法や戸籍法は異性婚を前提としているため、行政の現場では、同性カップルが長年生活を共にしていたとしても事実婚とみなされず、法的保護の網からこぼれ落ちている現状がある。
判決は、同性パートナーを犯罪被害者給付金の支給対象に含める理由として、犯罪被害のダメージの軽重は性別で変わらないとした。一方で、林道晴裁判長は補足意見で「あくまでも犯罪行為で不慮の死を遂げた遺族らの支援という特有の目的で支給される給付金についての解釈」と強調。他制度にも同様に適用できるかは制度ごとの検討が必要とする慎重姿勢も示した。
京都産業大の渡辺泰彦教授(家族法)は今回の判決が与える影響について、「同性カップルが他の給付金を申請した場合、行政側が申請を認めないためには『犯給法とはここが違う』という合理的な説明をしなければならなくなる。同性カップルに法的保護を認める必要性は徐々に浸透しており、今後もこの流れは続くだろう」と話した。【遠藤浩二】