小池氏は出馬すれば刑事告発の可能性
写真:gettyimages
「ただ、岸田首相にとっては、小池さんの側からズッコケてくれたことで、もう小池さんを気にすることなく、衆議院解散のタイミングを計ることができるのではないでしょうか」
その澤氏は続ける。
「小池さんは、4月19日の定例会見で、民事訴訟を含め対処法を考えると言っていますし、小島さんも、小池さんが『カイロ大卒』の経歴で7月の東京都知事選などに出馬すれば、公職選挙法違反で刑事告発する構え。その場合、小島さんは、まだ公けにしていないネタを出してくるでしょうから、小池さんへのダメージは大きくなると思いますよ」
4月21日に投開票が行われた目黒区長選では、小池氏が推した候補が敗れたが、次の焦点である東京15区の補選結果(負けたとしても負け方しだい)によっては、自身を含め数人を擁立し国政に戻るという野望はほぼ潰えることになるだろう。
そうなれば、9月の自民党総裁選で再選を目指す岸田首相からすれば、もっとも厄介な相手が1人減ることになる。
アメリカから帰国した岸田首相の懸念
写真:gettyimages
岸田首相にとっての追い風はまだある。4月10日に行われた日米首脳会談での成果だ。日本の首相が、民主党の大統領と、「ジョー」「フミオ」と呼び合えるような緊密な連携関係を構築できたのは、岸田首相が初めてと言っていい。
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バイデン大統領との間で上記のような内容で合意したことに関しては、アメリカと一体化し過ぎることへの懸念はあるものの、主に経済・安全保障の分野で、国際社会に向け、日米協力の「近未来」を演出するうえで大きな意義があったと評価すべきだろう。
20%台前半というのは依然として超低空飛行には違いない。
しかし、対する野党側も、日本維新の会の馬場代表が「立憲民主党を叩き潰す」などと述べている現状では、反自民でまとまるのは難しい。仮に、衆議院解散・総選挙があったとしても、自民党を下野させることなど夢のまた夢だ。
「島根1区」の結果がカギとなる
岸田首相が「国賓待遇」での訪米から帰国して以降、永田町では「6月解散、7月総選挙があるのではないか」との声が高まりを見せ始めた。
自民党の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正案の審議は、4月26日、衆参両院に設置された特別委員会で審議が始まるが、先の春闘では、大企業を中心に大幅な賃上げが実現し、6月には、岸田首相がこだわりを見せてきた1人当たり計4万円の所得税、住民税の減税が、国民の可処分所得を増やし始める。
「岸田さんは、首相就任直後の衆院解散、他派閥に先がけての岸田派解散、そして最近では、自ら政治倫理審査会に出て『政治とカネ』の問題を説明すると宣言、といったようにサプライズが得意。『選挙をやれば負ける』という声があっても、何をしでかすかわからない」(立憲民主党幹部)
ただ、立憲民主党幹部の発言にもあるように、岸田首相の出方は本当にわからない。
岸田首相からすれば、自民党内で「新たな顔」を求める声が高まれば、「座して死を待つ」ことになりかねない。
まとまって物申す派閥が党内から消え、懸案だった賃上げにも成功し、外交で少しだけでも評価を上げ、なおかつ、小池氏という脅威が薄れている今こそ、ある程度の負けは覚悟で解散を決断するチャンスではある。
これに対し、「総裁選で再選されてから解散」というシナリオでは、岸田首相にとってプラスに作用する材料がない。
過度な円安、イランとイスラエルによる中東情勢不安定化で物価高が進む。「異次元の少子化対策」では、「子ども・子育て支援金」として国民負担が生じる。マイナ保険証も評判が悪い。そこに、審議が始まる政治資金規正法の改正案も中途半端な内容に終わるとなると、どうにか解散はできても総選挙で大敗することになる。
バイデン大統領はもっと厳しい
写真:サウスウィリアムズバーグ地区の街並み(gettyimages)
ニューヨーク・ブルックリンにあるサウスウィリアムズバーグ地区。ここでは、ハシディックと呼ばれるユダヤ教の超正統派と言われる、黒いスーツとコートを着た人たちの姿をそこかしこに見ることができる。
米国に住むユダヤ人の人口は約750万人。全米の人口では2%に過ぎないが、過去に、CBSやNBCテレビを設立し、ゴールドマン・サックスなど金融・投資会社を立ち上げてきた彼らの豊富な資金による政治への影響力は、全米ライフル協会をしのぐと言われる。
2023年10月7日から始まったイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘は、ハマスを支援してきたイランとイスラエルとの報復合戦にまで発展したものの、これまでイスラエルを擁護してきた米国は有効な手立てを打てずにいる。
米国の有権者の中には、(1)バイデン氏の81歳という年齢への懸念、(2)経済は好調でも生活実感が乏しいことや移民急増への不満、(3)対ロシア、対中国、対イスラエル外交での物足りなさなどが渦巻き、バイデン氏の再選戦略を危うくさせている。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによる最新の調査では、ペンシルベニアやミシガンなど、大統領選で勝敗を左右する激戦州のほとんどでトランプ氏にリードを許している。
ただ、現時点では、岸田首相とバイデン氏が大統領専用車の「ビースト」の中で満面の笑みを浮かべているような光景は、秋以降、もう見られなくなる可能性が高い。
ついでに言えば、韓国の尹錫悦大統領の立場も相当厳しい。世論調査機関のギャラップが4月19日に発表した調査結果で、尹大統領の支持率は23%と「岸田首相並み」にまで落ち込んだ。
清水 克彦(政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師)
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