まさかの調査結果
自民党裏金問題を受けて内閣支持率が低迷する岸田政権。 低い支持率とは裏腹に岸田文雄首相は9月に控える自民党総裁選で「岸田おろし」をされる前に、衆議院を解散し総選挙に打って出るのではないかと永田町で囁かれている。
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一方、野党第一党の立憲民主党が次期衆院選を想定して3月上旬に独自に行った情勢調査では、立憲優勢な結果が出ていることが関係者への取材で分かった。
こうした中、立憲内では次の代表を巡る権力闘争が始まりつつある。 「あまりに良い結果が出過ぎている」
情勢調査について立憲関係者は半ば驚く様子で語った。 例えば、東京都内では現職議員は1人を除いて全員が自民候補に勝つほか、現在落選中で衆院選に向けて地元活動をしている元議員も軒並み小選挙区で当選するという結果が出ているという。
ほかの地域でも立憲が優勢な結果が相次いでいるとのことで、「このままだと本当に政権交代が起きるような情勢になってくるかもしれない」と関係者は続けた。 こうした中、立憲内で始まりつつあるのが次の代表を巡る権力闘争だ。
野田元首相の「意味深」な発言
岡田克也幹事長は次期衆院選の時期について表向きは「6月までに解散総選挙がある」と述べて党内の引き締めをしているが、一部の幹部には「来年の衆参同日選になるのではないか」という展望も語っているという。
岸田首相は現在の通常国会の途中での解散を模索しているが、低支持率の中で結局のところ選挙に打って出ることができず、9月の総裁選で交代を余儀なくされる。しかし、次の総理も裏金問題を引きずる中で思うように支持率を回復することができず、衆院選は来年にずれ込んでいく――という見立てのようだ。 「来年は都議選もある中で衆参同日選となると組織票頼みの公明党は嫌がるが、一方で問題続出の大阪万博と重なり、日本維新の会の失速が期待できる。その隙を自民はついてくるのではないか」(立憲幹部)というのだ。
そうなった場合、立憲では今年9月末に泉健太代表が任期満了を迎えるため、誰をトップにして次期衆院選を戦うかが問われることになる。
実は水面下ではすでに立憲代表選を見据えた動きが起きつつあり、野田佳彦元首相がとある重鎮議員を呼んで、「俺が代表選に出たら応援してくれるか」と問いかけたという情報も出てきている。
ただ、立憲関係者からは「情勢調査で良い結果が出たからと言って、浮足立っていると足をすくわれる」との声もあがる。 2021年に菅義偉元首相が支持率低迷で退陣に追い込まれた後、現在の岸田文雄首相で即座に解散となり、議席を伸ばすと見られていた立憲が逆に議席を減らしてしまったことは記憶に新しい。
「一寸先は闇」
また、4月28日には衆院3補選が行われ、岸田政権の行方を左右する試金石となるが、東京15区では立憲が候補者擁立に難航した。
立憲幹部によると、もともと立憲に所属していて現在は無所属で活動している江東区出身の須藤元気参院議員を無所属で擁立し、共産党やれいわ新選組と一緒に応援する構図を模索していたが、共産党から難色を示され、昨年の江東区長選に出馬した酒井菜摘氏を立てる方向で再調整が行われているという。 そうこうしているうちに小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会は作家の乙武洋匡氏の擁立を決め、自民、公明、国民民主との連携の調整に入った。知名度のある乙武氏を小池氏が支える体制に立憲の苦戦が予想される。
政治は「一寸先は闇」だ。情勢調査結果に浮足立つことなく、まずはしっかりと地に足をつけて、目の前の課題、目の前の選挙に取り組んでいくことこそが今の立憲にとっては重要だろう。
宮原 健太(ジャーナリスト)
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