本人は4月12日の会見で、「カイロ大学が自分の卒業を認めている。卒業を認める資格があるのは大学だけ」と疑惑を全面否定すると、連日、衆院東京15区補選に擁立したファーストの会副代表・乙武洋匡氏の応援のため街頭に立ち、ヤジを浴びても、「お騒がせしています」と笑みを浮かべる余裕を見せる。
月刊誌『文藝春秋』(5月号)で学歴詐称工作に荷担したと“懺悔暴露”した小島敏郎氏(元都民ファーストの会事務総長)が今度は、「小池氏を公選法違反で刑事告発する」と表明するなど騒動は広がっているが、小池ブレーンの1人はこう言う。
「きっと勝負に動くはず」
その小池氏は、補選の方針を大きく転換した。
これまでは都内の市長選で逆風の自民党推薦候補を支援して勝利させ、「都知事選を有利にするために自民党に恩を売った」(自民党都連幹部)と見られていたが、今回の補選では自民党の乙武氏への推薦を断わり、「反岸田」を鮮明にしたのだ。
疑惑再燃で小池氏にも逆風の状況だが、当の本人は“どこ吹く風”で、むしろ野心を燃えたぎらせているというのだ。
実際、小池氏が率いる「都民ファーストの会」は区長選や都議補選で勝利し、国政政党を目指して設立した「ファーストの会」も次の総選挙を睨んで昨年“小池政治塾(ファースト政経塾)”の2期生を募集するなど、候補者育成を続けてきた。
都民ファーストの会代表の森村隆行・東京都議が語る。
「前回の衆院選では候補者を立てられませんでしたが、次の総選挙ではファーストの会として候補者を出し、国政に出ていこうという方針です」
ジャーナリスト・角谷浩一氏は小池氏の狙いをこう見る。
「小池氏は来る総選挙で自身の国政復帰を念頭に置いているでしょう。いま、ポスト岸田に上川陽子・外相らの名前が挙がっているが、女性政治家のトップランナーを自負する小池氏にすれば、『私のほうがもっとやれる』という思いが強い。
自民党に勢いがあれば小池氏を相手にしないが、いまの自民党は裏金問題で強い逆風に晒され、総選挙になれば議席を大きく減らし、自公合わせても政権を維持できない可能性がある。その時、小池氏が国政で一定の勢力を持っていれば、存在をアピールできる。政権に入って外務大臣や副総理なりのポストを得て、その先に総理の道も拓けると判断すれば、彼女はきっと勝負に動くはず」
学歴詐称疑惑を払拭できなくても、「初の女性総理」は諦めない。岸田首相よりも、はるかに厚顔にして大胆不敵な政治家であることは間違いない。
※週刊ポスト2024年5月3・10日号