ホストに籠絡され、マカオで売春 心身壊し、貯蓄も奪われ…当事者の証言 深層 歌舞伎町(2024年4月20日)

 体調を崩し帰国後も、ホストからは風俗店で勤務するよう言われ続け、東京・吉原で働いた。結局、ホストクラブに支払ったのは総額約2500万円。次第に気持ちは冷めたが、カード会社などへの支払いは今も残る。「つらいが、どうすることもできない」

同意なく無謀な支払いを強要したとしてホストクラブ側を相手取り、支払金の返還を求め提訴を考えているというが「仕事もお金も失って、悔やんでも悔やみきれない」。後悔が口をついた。

■入国拒否、摘発相次ぐ

女性が日本から海外に行き、売春行為に従事するケースは最近、相次いでいる。円安も背景にあるとみられ、米国は売春が疑われる女性の入国を次々拒否。日本の捜査機関にも斡旋業者などの情報が寄せられているといい、専門家は「『稼げればいい』とリスクの認識が薄くなっている」と警鐘を鳴らす。

警視庁は今月、求人サイト「海外出稼ぎシャルム」を運営し、女性に米国での売春を紹介していた男4人を職業安定法違反容疑で逮捕した。サイト上には「観光をかねての高収入」「リゾート感たっぷり」などの誘い文句が並び、男らは3年間で200~300人の女性を米国などの売春店に斡旋していた。

ただ、売春は命の危険も伴う。警視庁が1月に摘発した女らを通して渡米した30代女性は、現地で薬物を強制させられそうになった上、砂漠に連れ去られ「口外したら殺す」と脅されたという。

また、発覚すれば取り返しのつかない〝烙印(らくいん)〟を押されることも。米国のビザ事情に詳しい佐藤智代行政書士によると、売春目的での渡航が発覚すると、10年は入国ができなくなる。売春に関わっている人物と連絡を取ったことがある程度でも追及されるなど、「水際対策は厳しくなっている」という。

佐藤氏は、「入国拒否を受け、客室乗務員など希望の職に就けない、海外出張ができないというケースもある。絶対にやめてほしい」と呼び掛けている。(外崎晃彦、橋本愛

 

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