(2024年4月14日『秋田魁新報』-「北斗星」)

 県内でギョーザやホルモンなど食品の無人販売店を目にするようになった。秋田市に先頃開店したスイーツの無人店は、商品を冷蔵庫から取り出して、設置された端末に個数などを入力して計算し、キャッシュレスで決済するか、現金を箱に入れる仕組み。端末操作の説明が掲示されていたが、少し手間取った

▼端末を使わなくても、備え付けの封筒の表面に商品や個数を書いて現金を入れ、箱に投じる支払いも可能だった。操作に慣れていない高齢者らへの配慮だろう。監視カメラがあるとはいえ、盗難や金額のごまかしはないという性善説に立っての運営だと感じた

新型コロナウイルスの感染拡大時期に非接触生活様式が求められたことで、無人店は全国に拡大した。人手不足で高騰している人件費を削減できることもあり、最近も増えている

▼都内のある無人書店に足を運ぶと、会員登録してスマートフォンにデジタル会員証を入手してから入店できるシステムでセキュリティーを管理していた。支払いはキャッシュレス決済のみだった

▼本県のような高齢者の多い地域では、無人店で端末を操作せずに済む方が売り上げ増加につながるのではないか。だが店側は現金を扱うことにセキュリティーの不安が大きいだろう。そこは性善説に立った運営に客側が応えなければならない

完全デジタル化の無人が本県に増えれば、買い物難民が生まれる可能性もある。今後も地域の実情を踏まえた出店に期待したい。