5年に1度開催される「国際博覧会」通称「万博」!世界中の技術や文明が集まる国際的なイベントです。
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大阪・関西万博の現状と課題 1970年、6400万人以上の入場者を記録した大阪万博から55年。万博が再び大阪にかえってきます。
(記者リポート)「万博会場の大阪・夢洲に来ています。いまいるのはいわゆる『リング』の上で、高さは12メートルほどあります。ここからは、会場が一望できます」
来年4月13日から半年間開催される予定の大阪・関西万博。1周2キロメートルの巨大な建築物「リング」は、今回の万博のシンボルとして建設が進められています。
テーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。会場では、国や大阪府市、民間企業などがそれぞれ、パビリオンを出展する予定です。
(万博協会・高科淳副事務総長)「リングの外には、民間企業のパビリオンとか、日本館、イベント会場などがあったりします。それぞれもう着工して、大半が順調に進んでいるという状況」 鉄腕アトムやブラック・ジャックが「案内役」をつとめるというパソナグループのパビリオンや、バンダイナムコホールディングスが手がける「ガンダム一色」のパビリオンなど、民間パビリオンはあわせて13棟建つ予定です。
そして、なんといっても万博の「華」と言えば…海外パビリオンです。現在、161の国と地域が参加を表明していて、うち独自で設計し建設する「タイプA」を出展する予定の国は約50。それぞれの「こだわり」がつまったデザインを続々と発表しています。
たとえば、球体が特徴的なスイスパビリオンでは、屋上のバーでハイジと「出会える」仕掛けが用意されるそう。アイルランドパビリオンでは、伝統的な音楽やダンスなどのライブが毎日実施される予定だということです。
一方で、海外パビリオンを巡っては、無視できない心配ごとが…
課題①海外パビリオン 建設に遅れ!?
「タイプA」で出展する予定の国の中で施工業者が決まっているのは36ヵ国で、うち12ヵ国は着工済みです。ただ、約15ヵ国は、いまだ業者すら決まっていないという状態なのです。果たして、開幕に間に合うのでしょうか? (万博工事関係者) 「ちょっと(進捗が)遅いんちがうかなと」
「(Q.今後1年で海外パビリオンは建つ?)
全部はどうかな。ぎりぎりかちょっと残るかくらい違うかな」
「(Q.開幕に間に合うと思う?)
無理ちゃうか、俺が思うにやで。あんまり進んでないやろ(海外パビリオンの)工事自体が」
なぜ建設が遅れているのかを調べてみると、国内外の事情、様々な要因が見えてきました。 (万博工事の建設業者)「施工業者が決まらない理由のひとつは、各国が威信をかけてこだわったデザイン。いまから着工するには複雑すぎたり、繊細すぎたりして、業者が手を挙げづらい状況」 「人件費が上がって人が雇えず、さらに『2024年問題』で労働時間の制限が厳しくなり、マンパワーが足りていない」 「円安や物価高、戦争などの影響で資材が高騰していて、一部で手に入りづらくなっている」
こうした苦境に、万博協会は新しい受け皿として「タイプX」という選択肢を用意しました。プレハブ型の建物工事を協会が先行して手がけ、外装や内装を各国でデザインするというものです。タイプAからの移行をいち早く表明した国のひとつが、ブラジルです。
(ブラジル貿易投資振興庁・ジョルジ・ヴィアナ長官)「限られた時間の中で建設を完了できるか危ぶまれる状況にあったので、より確実に予定されたスケジュールで完了できる、プレハブ式のタイプXに移行しました」 協会は進捗が芳しくない国に対しタイプXなどへの移行を促していますが現在、ブラジルを含め3ヵ国にとどまっています。
この現状に、万博協会で事務方のトップを務める石毛事務総長は、「完璧ではない形」での開幕の可能性も示唆しました。
(万博協会・石毛博行事務総長)「(タイプAの)数が減ったとか、落ちこぼれたとか、そういうことを言うのは、あまり正論ではない。前の万博では、いろんな事情で途中で撤退した国もある。そういうことについて許容していかないと、こういう大きなイベントはできない」 見逃せない課題は他にも…
課題② 会場建設費の増額 納得できない!?
(大阪府・吉村洋文知事)「今回2回目の増額、500億円の増額になったこと、府民・国民のみなさんにおわびをします」
国と大阪府市、経済界が3分の1ずつ負担する会場建設費。当初の1250億円から、4年前1850億円に増額しました。さらに去年11月、2350億円にまで再度増額。当初の約1.9倍にふくれあがったことになります。
newsおかえり視聴者約1000人にアンケートをとってみたところ、会場建設費の増額に「納得している」と答えた人はわずかに13%。多くの人が「納得していない」と回答しました。
経産省は、こういった世論を意識してか3月末、こんな数字を公表しました。 (経済産業省・博覧会推進室担当者)「今回、経済波及効果を再試算して、総額2.9兆円という結果を報告します」
万博による「経済波及効果」が6年前の試算と比べ、4000億円大きくなると明らかにしたのです。
一方、大阪府の吉村知事は「経済効果のためだけに万博をするわけではない」とした上で、このように述べました。
(吉村知事)「丁寧な説明をしていくしかないと思います。その分しっかりとしたすばらしい万博を実現する。こんなに素晴らしい万博ができたなら、(増額の)価値あるよねと思ってもらえるようなものをつくりあげることが大切だと思います」
ただ、何より万博関係者が頭を悩ます1番の課題が…
課題③ 盛り上がりに欠ける!?
様々な課題が取りざたされる中、みなさんは万博をどう考えているのでしょうか。 (大阪府民・80代)
「(Q.万博に行く予定はある?)あります。昔の大阪万博(1970年)に行ったからね。あの時は外国のパビリオンがすごく珍しかったから。いまはそれほど珍しくないんだけど」 (大阪府民・50代)「現実味があんまりない。来年に迫っているけど、本当にやるのかなって感覚がずっとありますね」 (京都府民・40代)「まだそそるなにかがないかなと思いますね。これっていう目玉がないというか。 (大阪府民・50代)「やっぱりちょっと盛り上がりに欠けるのかな。大阪市民もみんな万博に対して期待感が薄いのかなって」 こうした全体的な機運が影響しているのか、4月3日時点での前売り券の売り上げ枚数は約123万枚と、目標(1400万枚)の9%程度にとどまっています。 視聴者へのアンケート結果をみると、万博に関心があると答えた人は計46%で、関心がない層が過半数を超える結果になりました。
この状況に、石毛事務総長は「いまは焦る必要はない」と話します。
(石毛事務総長)「開幕したらさらに盛り上がる。開幕してからかなりの入場者数が実現されるのはどの万博でもそうです。最後は『もっと期間延びないの』と。そういって終わるのが万博の常ですよね。世界の今をパスポートなしで見られるんです。こういう機会は一生に一回あるかないかですよ。この機会をぜひ逃さずに夢洲に来てくださいと、チケットを買ってくださいと。絶対損はしません」 抱える課題を解消しつつ、万博のテーマやパビリオンなど「中身」を広く伝えていく。万博の成功は、これからの1年にかかっています。
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