猫97件、犬65件…動物虐待の摘発、2023年過去最多に 馬や牛、ウサギなども「被害者」に(2024年4月11日『東京新聞』)

 
 ペットなどの動物を虐待したとして全国の警察が2023年に摘発した動物愛護法違反容疑の事件は、過去最多の181件(前年比15件増)だったことが警察庁のまとめで分かった。統計を取り始めた2010年(33件)の5.5倍となり、警察庁は「動物保護への関心が年々高まり、通報が増えている」としている。

◆関心高まり?第三者からの「通報」が7割

 摘発された人数も過去最多の206人。類型別では「遺棄」が最も多く74件、餌を与えないなど劣悪な環境で飼う「虐待」が61件、「殺傷」が46件だった。種別では猫が97件、犬が65件で大半を占め、猫では遺棄が、犬では虐待が多かった。馬や牛、ウサギ、ニワトリなどもあった。
 発覚の端緒は近隣住民ら「第三者からの通報」が118件で7割近くを占めた。他は容疑者やその関係者からの通報(21件)、自治体からの通報(18件)、愛護団体からの通報(10件)などだった。
 主な摘発事例では、4月に埼玉県の無職の男(64)が河川敷で猫に吹き矢を放ちけがをさせたほか、6月には島根県で農場勤務の男(26)が牛2頭に暴行した。警察庁の担当者は「関係機関との連携を強めて不適正な飼育を指導し、悪質な場合は迅速に捜査する」としている。
 東京都動物愛護相談センター(世田谷区)の担当者は摘発増の一因として「動物愛護法の改正で事業者の管理規則が厳しくなり、虐待の具体的な内容が盛り込まれた。飼う側のルールが厳しくなった」と指摘。「新型コロナウイルス禍の外出控えで、自宅周辺のペットの飼い方にも目が向くようになったのでは」と分析している。(小倉貞俊)