去年、動物への虐待の疑いで全国の警察が検挙した事件は、181件と、これまでで最も多くなり、最近10年で4倍近くに急増していることが、警察庁のまとめでわかりました。
通報の増加 動物愛護への関心の高まりからか
専門家「より弱い者に攻撃 人間社会の問題も影響」
動物虐待などの問題に取り組む弁護士や獣医師らのNPO法人「どうぶつ弁護団」で理事長を務めている細川敦史弁護士は「動物愛護への関心自体は近年、急速にではなく、ここ20年ほどかけて徐々に高まってきている」としたうえで、「社会の少子化や晩婚化が進む中で、ペットを家族の一員のような存在だと考える人が増えている。同時に、自分のペット以外の動物についても、ひどい扱いを受けることはよくないことだという考え方が広がり、通報が増えているのではないか」と話します。
細川弁護士によりますと、これまでNPOに寄せられた動物虐待の情報の半数ほどが、「YouTube」や「インスタグラム」など、SNS上に投稿された写真や動画に関連するものだということです。
細川弁護士は「虐待の動画で、再生回数を増やし、承認欲求を満たすことや金を手に入れたいという目的が感じられるケースもある。大きな動物ではなく、小さくて弱い動物ほど被害に遭いやすく、より弱い者に攻撃が向かいやすいという人間社会の問題も、動物虐待に影響を与えていると感じる」と話しています。
ニワトリやウシ、カメも…動物虐待事件、去年1年間の摘発件数は過去最多の181件 犬と猫で9割(2024年4月11日『TBSニュース』)
犬や猫などの動物を虐待したとして、全国の警察が摘発した事件の数が去年1年間で181件に上り、過去最多となったことが警察庁のまとめで分かりました。
警察庁によりますと、動物を殺したり遺棄したりするなどの虐待事件の摘発件数は、去年1年間に全国で181件でした。前の年より15件増えて、統計の残る2010年以降で最多となりました。
このうち、犬と猫への虐待事件が合わせて162件で、およそ9割を占めています。ニワトリやハムスター、ウサギや牛、そしてカメへの虐待事件もあったということです。
飼い主ではなく、第3者による通報で発覚するケースが6割を超えています。
警察庁は、「ペットブームなどを背景に、虐待事件の摘発件数も増加傾向にある」「指導などで改善がみられない場合は取り締まる」としています。
また、勤務していた会社から転職したり独立したりした際に、営業などに関する秘密を不正に持ち出したとして全国の警察が摘発した件数は、去年1年間で26件でした。
前の年よりも3件減りましたが、依然として高い水準となっています。警察への相談件数は前の年より19件増えた78件で、こちらは過去最多です。