自治体ごとに異なっているシステムをそろえるのは簡単ではないが、住民サービスの向上のためには行政のデジタル化が欠かせない。
デジタル庁は、全国の自治体の業務システムの仕様を統一する「標準化」の事業について、全体の1割にあたる171自治体が、2025年度末の期限に間に合わないと公表した。
大阪、埼玉など6府県や政令市、中核市など、人口規模が比較的大きい自治体が目立つという。
都道府県や市町村など各自治体はこれまで、システムを独自に整備してきたため、仕様やデータの形式がバラバラになっている。各省庁のシステムともほとんど連携が取れていなかった。
このためコロナ禍では、国と地方で感染状況などの情報共有がうまくいかなかった。国が用意した給付金の支給事務を、自治体が手作業で行うケースも多かった。
こうした事態を踏まえ、政府は地方の事務のうち住民基本台帳や住民税など20の業務について、システムを統一することを決めた。25年度末までに、政府と自治体が共同で利用する「ガバメントクラウド」に移行する方針だ。
行政のデジタル化が進めば、転出入の届け出や、医療や子育てに関する申請など、様々な手続きがオンラインでできるようになる。業務が効率化され、自治体職員の負担も軽減されるだろう。
移行が遅れているのは、自治体によっては古い大型コンピューターを使っていたり、個別に改良を加えたりしているため、システム改修に膨大な作業が必要になっていることが原因だ。
また、標準化の作業とは別に、システムの保守管理を担っていた企業が、人手不足などを理由に撤退した事例もあるという。
標準化の事業では、膨大な個人情報を扱うことになる。クラウドへの移行を急ぐあまり、情報
先行してクラウドを利用し始めた自治体からは、その利用料などで経費が
費用が膨らんでいる原因や問題点を洗い出し、早急に対策を講じる必要がある。