より良い授業をつくり、子どもの学びを深める手段として効果的に活用することが重要だ。
2025年度から中学校で使用される教科書の検定結果が公表された。紙媒体の教科書に印刷された2次元コード(QRコード)をタブレット端末で読み取って接続する、デジタル教材が大幅に拡充したのが特徴だ。本年度からは小学校でQRコードが掲載された教科書の使用が始まった。
デジタル教材は英語の音声や理科の実験動画、国語の教科書に掲載された小説の著者メッセージなど多岐にわたる。教科書の記述や教員の説明だけでは分かりにくい箇所を補い、児童生徒一人一人の理解度や興味、課題に応じて繰り返し学べるなどの利点がある。
基礎的な知識を習得し、物事の考え方や対話の方法を身に付けるなど、全ての児童生徒が一定の目標を達成する上で、個人の課題に対応しやすいデジタル教材の重要性は増している。各学校は、授業への理解を促すためにデジタルを活用してほしい。
デジタル教材はQRコードを読み取るだけなので、比較的簡単に授業に取り入れることができる。ただ、音声や動画などを使ってどう教えるのかは十分に定まっておらず、使いながらあるべき活用法を探っている段階だ。
県教委の担当者は「デジタルを無理に使うのではなく、効果的に活用するタイミングを精選することが重要」と指摘する。
授業をつくる教員の力量が問われる。デジタル教材を的確に取り入れ、児童生徒に新たな気付きや学ぶ楽しさを教えられるよう、資質を磨くことが求められる。
本年度から全国の小中学校の英語で紙媒体の教科書に加え、同じ内容のデジタル教科書が導入された。今後、教科書のデジタル化が段階的に進められる。
デジタル教科書は音声の再生などに加え、文章や図の拡大、縮小などができ、障害があるなどして紙の教科書では学習が難しい児童生徒らのサポートに適している。画面にメモを書き込んだり修正したりしやすく、思考力を養う効果なども期待されている。
一方、デジタルよりも紙媒体の方が授業の内容が定着しやすいとの研究結果がある。手書きは文字を習得したり、言葉を記憶したりする上で有効とされている。
デジタルか紙媒体か、児童生徒によって最適な教科書は異なり、双方を組み合わせることで学習効果が上がる場合もある。学びの質を高めるために、教科書や教材の選択肢を確保することが大切だ。