死去後に不思議な現象 シェアで「“いのち”はめぐる」(2024年4月9日『ORICON NEWS』)

NHKスペシャル「シェア 16歳の“いのち”はめぐる」より(C)NHK

 13日放送の『NHKスペシャル』(NHK総合、後10:00)では、小山田優生(おやまだ・ゆい)さんの“生きた証”から“シェア”の本質に迫る「シェア 16歳の“いのち”はめぐる」を届ける。

【場面カット】ダンスやメイク…優生さんの“生きた証”

 SNSに笑顔のダンス動画を投稿する16歳は、この時、余命2ヶ月と宣告されていた。白血病で亡くなった優生さん。闘病中に128本の動画を投稿したが、その死後も新たな動画が次々に投稿され続けている。

 番組では、優生さんが亡くなったあとも残された動画に影響を受ける人々を取材。それぞれの境遇や思いを浮かび上がらせるとともに、作家・川上未映子氏がこの“新たな現象”がもつ意味を読み解いていく。

 優生さんは中学3年生の時に白血病と診断され、闘病の末に16歳でこの世を去った。亡くなる10日前まで、毎日のように笑顔いっぱいの“ダンス動画”や“メイク動画”をSNSに投稿し、動画を通して多くの人が優生さんを見守った。そして、不思議なことが起きた。すでにこの世にはいない彼女の動画を、今度は別の人が投稿し始めた。

 残された映像を再編集して、80本を超える新たな動画を投稿し続けている10代の女性。「娘の生きた証を伝えたい」と自身が撮影した優生さんの闘病中の姿をアップし始めた父。そして、動画をきっかけに優生さんの遺族を支えたいと動き出した人。さらに、この春、優生さんと同年代の1人のフォロワーが、彼女の遺影の前に立った。優生さんに突き動かされる人たちの思いとは。

 今回、この新たな現象を、自らの死生観と照らし合わせて読み解いたのは芥川賞作家の川上氏。2月に母親を亡くしたことを公表したばかりの川上氏が見いだした“優生さんの動画に刻まれたもの”、そして“シェア”という行為の本質とは。

川上未映子氏コメント
優生さんの動画を拝見して、彼女が“いま”を生きていた、“いま”をずっと発信し続けていたことが伝わってきました。当事者の方、当事者の家族の方、親しい方々にとって、この“いま”の力ほど支えになるものはないんだと思います。
一方、人の“生や死”という覚悟のいる事柄と、SNSというものとのマッチングに、最初は動揺しました。でも、受け止めるということ自体の変化を促されているのかもしれないとすら感じました。