「立ち位置を把握して」(2024年4月9日『しんぶん赤旗』-「潮流」)

 どこまで、恥知らずなのか。裏金事件の渦中にある世耕弘成(ひろしげ)参院議員が学生を前に訓示を垂れました。「変化の激しい社会で自分の立ち位置をしっかりと把握してもらいたい」

▼自身が理事長を務める近畿大の入学式で。安倍派の参院会長だった世耕氏は裏金で大量購入した高級洋菓子を有権者に渡していた公選法違反の疑いも。これには近大教職員の有志が理事長辞任を求めて署名を開始。4万をこえる賛同が寄せられています

▼国民に顔向けできない不祥事を起こしながら、自分が置かれている立場さえわからない。そんな無責任な人物に「立ち位置を把握して」といわれた学生たちは、さぞ困惑したでしょう

▼さてこの人の場合はどうか。訪米した岸田首相です。過去最大の軍事費を盛り込んだ新年度予算を通し、自身もかかわる裏金問題は解明もないままにお手盛り処分で見せかけの決着。9年ぶりの国賓待遇として意気揚々と

▼桜の苗木や輪島塗を贈呈するそうですが、本当の手土産は大軍拡による日米同盟の強化です。米軍と一体となって戦争する国づくりを一段と。米国や同盟国と兵器の開発を推進する「経済秘密保護法案」も衆院の委員会で強行しました

▼岸田首相は米議会で日本は米国の「トモダチ」「米国とともに自由を守る」と訴える予定だといいます。物価高騰のなかで賃金や年金は抑えられ、医療や介護の負担は増すばかりの国民生活。どちらを向いて立っているのか。いつもはなおざりの立ち位置も、ここでは鮮明です。