子どもの交通安全/注意点を繰り返し教えよう(2024年4月9日『福島民友新聞』-「社説」)

 小学校などの入学シーズンに合わせた春の全国交通安全運動が、「挙げる手をやさしく見守る横断歩道」をスローガンに15日まで展開されている。子どもが交通事故に遭わずに元気に過ごせるかどうかは、子どもよりもむしろ、大人が何をするかにかかっていることを胸に刻みたい。

 小学生以下の子どもの事故の多くは登下校の時間帯に発生している。小学校に入学した子どものいる家庭で行ってほしいのは、子どもの目線の低さを意識しながら、事故の恐れのある場所を確認し、安全に通行するための方法を教えることだ。

 県警の担当者は「子どもは道路が危ない場所であることを頭では分かっていても、まだ実感できていない。保護者が安全に通学できているかを確認することがとても重要だ」と話す。保護者は子どもが一人で通学できるようになっても、交通ルールがきちんと身に付いているかを定期的に見るようにしてほしい。

 横断歩道では車が停止してから渡っているか、歩道のないところでは道の端を歩いているか―などが確認すべきポイントだ。おろそかになっていたら、なぜそのようにしなければならないのかを繰り返し教える必要がある。

 高校生や中学生となり、自転車通学を始める人は多い。県警が昨年、高校生を対象に行ったアンケートによると、自転車利用者のヘルメット着用率が1割弱にとどまっている。自転車の事故は速度が出ていなくても、頭を打つと致命傷になる恐れがある。自転車のヘルメット着用が昨年から努力義務となったのもこのためだ。

 新生活を始めるに当たって、自転車に乗る際にはヘルメットを着ける習慣を身に付け、当たり前のものとしていくことが肝要だ。

 自転車通学時のヘルメット着用を義務付けている高校は少ない。学校には、生徒らがヘルメットの必要性を理解し、自発的に着用するようになるための方策を考えてもらいたい。

 事故は、歩行者や自転車利用者に過失がない場合でも起きる。この時期は、就職や異動により慣れない場所で車を運転する人が多く、事故の危険が高まる。ただ、ドライバーが交通ルールやマナーを守っていれば、深刻な結果を招かずに済むケースもある。

 子どもをはじめとする歩行者の安全を守るのはドライバーが最優先すべき義務だ。特に通学路の周辺を走行する際には、安全な速度で走行して、子どもたちの急な動きに注意を払うことが大切だ。