全国大会への出場歴もある関西大北陽高校(大阪市東淀川区)ハンドボール部の指導者側が、ミスした生徒に懲罰を加える目的で、丸刈りを強要していたことが8日、同校関係者への取材で分かった。暴言や体罰に及んだこともあった。学校側は一連の事実関係を認めた上で、関与した顧問とコーチの2人を3月に厳重注意としたが、現時点で保護者説明会を開く予定はないとしている。
■発端は合宿でのミス 同校関係者によると、昨年春に京都府内でハンドボール部が合宿をした際、食事の準備を巡り一部の生徒がミスをした。複数の部員らがスマートフォンのカメラを構える中で、指導者が中心となって生徒2人をシャワー室内に座らせ、バリカンで頭を刈った。
この顧問は別の場で、生徒に暴言を吐いたほか、頭をたたいたり尻を蹴ったりするなどの体罰を加えたこともあった。
関係者によると、今年に入り、ある保護者が学校に抗議した。学校側は3月以降、顧問への聞き取りなどに基づき、丸刈りの強要や暴言、体罰などを認めた上で口頭で謝罪したという。
同校の運営母体である関西大によると、学校側は3月中旬に顧問ら2人を口頭で厳重注意した。改善がみられたとして現在も部の指導を続けている。産経新聞の取材に関西大は「遺憾であり、適切な指導を行い、再発防止に努めていく」としている。
■「責任取れ」と迫る
日本社会で丸刈りは、土下座と並んで謝罪や反省の意を示す切り札とみなされる傾向にあり、自ら「頭を丸める」ケースは後を絶たない。
ただ、無理強いは相手の心に傷を負わせることにつながり、社会的制裁を受ける場合もある。 関大北陽高校で発覚した丸刈りの強要を巡り、産経新聞の取材に応じた保護者によると、ある生徒は昨年秋ごろ、授業中にスマートフォンを操作したことが顧問に見つかり、「責任を取れ」と詰め寄られた。部活動中のプレーを巡り、再び同じ言葉で迫られたため、先輩に真意を尋ねたところ「丸刈りにしろという意味だ」と告げられた。
髪を伸ばしたままでは部に籍を置くことが難しいと感じるようになり、嫌だったが美容院で丸刈りにした。 取材に対し、生徒の保護者は「教育現場でこのようなことがまかり通るのはおかしい」と憤る。
■「行き過ぎた指導」