「つなぐ珈琲」1号店、発達障害ある人を積極採用 特性生かし働ける環境に(2024年4月8日『秋田魁新報』)

 秋田県大仙市大曲にある住所非公表のコーヒースタンド「つなぐ珈琲」1号店は、発達障害がある人を積極的に採用している。2日から8日までは発達障害啓発週間。自身も発達障害があるオーナーのぽんさん(34)は「障害の有無にかかわらず、誰しもが本来持っている個性や能力を発揮して働ける環境をつくりたい」と話す。
つなぐ珈琲1号店で、カウンター越しにコーヒーを手渡すぽんさん

 つなぐ珈琲は手網を使った焙煎(ばいせん)でこだわりの一杯を提供する。1号店は昨年9月に同市大曲にオープン。今年1月には秋田市に2号店を構えた。1号店は前の店舗が手狭になったため、3月30日に同じ大曲で移転。新店舗は暖色の明かりに包まれ、木のぬくもりが感じられるようになっている。カウンター越しにスタッフとの会話も楽しめる。

 ここで焙煎を担当する女性(24)は、短大在学中に発達障害があると分かった。人付き合いが苦手で、「合わないな」と思いながら短大に通っていたが、ある日を境に行けなくなった。自宅にこもる日々は3年ほど続いたという。

 つなぐ珈琲でアルバイトを始めたのは今年3月。店の交流サイト(SNS)で、ぽんさん自身も発達障害があると明かしていたことが、女性の背中を押した。接客を担うバリスタでの採用を希望したが、ぽんさんから「集中力があるから、一つの作業に専念できる環境が向いている」と、焙煎の担当を提案された。

 これを受け、豆の選別や豆ひき、袋詰めなどの作業を担当。栄養士の資格を生かして、お菓子作りにも取り組んでいる。女性は「長所を見つけてもらってうれしい。自分が作った商品をお客さんに喜んでもらえると、社会に認められた感じがする」と話す。

 ぽんさんは大仙市出身。新潟大を卒業後、都内の飲料メーカーでの勤務を経て、知人と人材会社を起業し、新卒採用に携わった。その後、精神に不調を来し、発達障害があると分かった。

 こうした経験を基に、つなぐ珈琲では従業員一人一人と向き合うことを心がけている。「得意なことだと褒められてやる気になるし、興味があることは頑張れる。それぞれの特性を探りながらマネジメントしている」

 住所非公開なのは、手網を使った焙煎に時間がかかることに加え、発達障害があるスタッフが自分たちのペースで作業できるようにするためだ。ぽんさんは「石橋をたたきながら、焦らずゆるゆるとやっていきたい」と話す。

 店への問い合わせはインスタグラム(pon_akita_coffee)で受け付けている。