瀬戸大橋塔頂ツアー 常設見合わせ 24年、期間拡大も集客低迷要因(2024年4月6日『山陽新聞』)

瀬戸大橋の塔頂部からの景色をバックに記念撮影するスカイツアーの参加者。2024年は「常設化」が見送られる=23年3月

瀬戸大橋の塔頂部からの景色をバックに記念撮影するスカイツアーの参加者。2024年は「常設化」が見送られる=23年3月
 
 瀬戸大橋の塔頂から眺めを楽しむ「瀬戸大橋スカイツアー」で、本州四国連絡高速道路(本四高速、神戸市)が2024年、春と秋のまとまった期間に行っていた「常設化」を見合わせる方針を固めたことが、同社への取材で分かった。開通35周年だった23年に開催期間を大幅に拡大したものの、集客が低迷したことが要因。単発イベントとしての実施も決まっていない。瀬戸内海の多島美とともに、大橋の魅力を発信してきた恒例イベントは抜本的な見直しを迫られている。

 ツアーは瀬戸大橋を構成する六つの橋の一つ・北備讃瀬戸大橋が舞台。橋の建設や維持管理に携わった本四高速OBらの説明を受けながら、普段は立ち入れない管理用通路を通り、塔頂部(海抜175メートル)から瀬戸内海をバックにつり橋の造形美を堪能する。

 開通10周年の1998年に単発イベントとしてスタートし、徐々に定員や開催日数を拡大。参加の抽選は10倍前後の高倍率で推移し、開通30周年の2018年には過去最高の26・8倍に上った。より多くの人に楽しんでもらえるよう19年に常設化し、これまでのトータルで延べ約2万900人が参加した。

 ところが、23年は3~6月と9~11月に過去最多の計133回(22年108回)実施し、1回当たりの定員を24人(同18人)に拡大したにもかかわらず、参加者数は2158人と総定員の45・6%(同61・4%)にとどまった。

 本四高速はプロモーションが不十分だったことに加え、集合場所としている与島パーキングエリア(坂出市)までの交通アクセスといった課題が背景にあると分析。開催頻度や宣伝方法を含め、ツアーの在り方を見直す必要があると判断した。

 本四高速には参加希望者や旅行業者から今年の実施状況に関する問い合わせが寄せられているという。同社は「橋の建設や管理の技術に関心を持ってもらい、瀬戸内地域の魅力向上にもつながる事業。継続できるよう開催方法を検討したい」としている。