自民党は4日、派閥の政治資金問題をめぐる処分を発表した。安倍派(清和政策研究会)座長の塩谷立氏、参院安倍派会長だった世耕弘成氏に離党勧告を科した。下村博文氏と西村康稔氏に1年間の党員資格停止の処分を下した。
党本部で党紀委員会を開き、処分を決定した。安倍派幹部や政治資金収支報告書の不記載が2018〜22年の5年間で500万円以上にのぼった議員ら計39人が審査対象になった。逢沢一郎氏が党紀委員長を務め、茂木敏充幹事長も出席した。
高木毅氏は党員資格を半年停止、松野博一氏と萩生田光一氏、二階派(志帥会)の事務総長だった武田良太氏らは1年間の党役職停止を決めた。
岸田文雄首相と二階俊博元幹事長は党紀委による処分対象から外した。二階氏は3月下旬、政治資金問題で政治不信を招いた責任をとり、次期衆院選に出馬しない意向を表明した。
離党すると選挙で党の公認を得られず、衆院選では比例復活できない。無所属で出馬すれば小選挙区で勝利するしかない。復党には党紀委の審査が必要だ。
党員資格の停止は3番目に重い処分となる。党総裁選への立候補や投票の資格を失い、政治活動の制約は大きい。衆参両院の選挙で立候補予定者になる支部長に就けず、原則、非公認での戦いとなる。
党の役職停止と戒告は処分の重さでそれぞれ6番目と7番目になる。
党則は処分に不服がある場合、通知から10日以内に再審査を請求できると定める。党内には処分対象に関し「数字で一律に区切るのはおかしい」などと不満の声がある。塩谷氏や西村氏は4日、党紀委に先立って弁明書を提出した。
自民党は2月の調査で、現職国会議員82人と支部長3人の計85人に不記載があったと明らかにした。首相は3月下旬、安倍派幹部を務めた塩谷氏や世耕氏ら4人から聞き取り調査をした。