脅迫のトランスジェンダー本「安全確保できぬ」書店で販売自粛広がる アマゾンは総合1位(2024年4月3日)

 

 3日に発売された翻訳本「トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇」(アビゲイル・シュライアー著)。発行元の産経新聞出版や書店に対する脅迫が相次ぎ、安全の確保を理由として複数の書店に販売自粛の動きが広がった。予定通り店頭に並べた書店では、手に取る客の姿が目立った。

「お客さまと従業員の生命や身体に危害を加えられるリスクがある」。全国展開する書店の担当者は販売見合わせの理由をこう説明した。今後も販売するかどうかは未定で、こうした事態は「知る限りない」と語った。

一方、販売を開始した関西地区の大型店は「たくさん仕入れたが、すべては店頭に出さず、少しずつ置きます」。中には「本部から自粛の要請があったが、納得がいかない。積極的に売りたい」と話すチェーン店もあった。

一部の書店系通販サイトでも注文できない状態が続いたが、通販大手の「アマゾン」では本の売れ筋ランキングで総合1位となるなど関心の高さがうかがわれた。

東京都内の大型書店では奥まった場所に設けられたノンフィクション売り場に数冊が平積みされ、男性客らが手に取って内容に目を通していた。

同書を巡っては、出版中止を求め放火を予告する脅迫メールが、複数の書店や発行元の産経新聞出版などに送付された。産経新聞出版は威力業務妨害罪で警視庁に被害届を提出している。

産経新聞出版では「脅迫に応じることは、出版文化と表現の自由を脅かす前例を作ることになり得る」として、予定通り刊行。著者のシュライアーさんはX(旧ツイッター)で「悪質な圧力に屈することなく、書籍は発行する」とした産経新聞出版の姿勢に、「This is the way!(これがその方法だ!)」と書き込んだ。

「トランスジェンダーになりたい少女たち」発売開始 産経新聞出版の見解