静岡の川勝知事が辞意表明 新規採用職員への職業差別訓示で批判(2024年4月2日『産経新聞』)

 
辞意を表明した静岡県川勝平太知事=2日午後(青山博美撮影)

静岡県川勝平太知事が2日、県庁内で記者団の取材に応じ、「6月の(県)議会をもってこの職を辞そうと思う」などと語り、知事職を辞する意向を表明した。川勝氏は1日に行われた新規採用職員向けの訓示で、職業差別と取れる発言をして批判を浴びていた。

川勝氏は訓示で、新規採用職員らに「毎日毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかとは違い、基本的に皆さんは頭脳、知性の高い方。それを磨く必要がある」と述べた。

この発言を受け、2日午後に記者団の取材に応じた川勝知事は辞職を表明。「いろいろな職種があるということであり、差別的な意図や意識はない」とした上で「言葉が不十分だった。不愉快に思った人がいたら申し訳ない」と謝罪した。

川勝氏は早稲田大教授や静岡文化芸術大学長などを経て平成21年の知事選で初当選。知事就任以降、令和3年に同県御殿場市を「(特産は)コシヒカリしかない」と話すなど不適切な発言を繰り返していた。昨年7月の県議会での不信任決議案否決後、「今後不適切な言動があったら辞める」と述べていた。

川勝氏を巡っては、東京・品川と名古屋を結ぶリニア中央新幹線について、大井川の水量が減少するのを問題視し、静岡工区の工事着工を認めず、JR東海と対立。JR東海は先月29日、着工遅れを理由に令和9年の開業断念を表明していた。川勝知事の辞職表明でも工期の遅れを取り戻すことはできない見通しで、関係者は今後の情勢を注視している。

「牛の世話と違う」職員訓示にSNSで批判

「野菜売ったり牛の世話と違う」と訓示