静岡 川勝知事 辞職の意向表明 不適切発言の批判受けた会見で(2024年4月2日『NHKニュース』)

静岡県の川勝知事は、新人職員への訓示の中で職業差別とも捉えられかねない発言をしたことを受けて、2日夜、県庁で記者会見し「ことし6月議会をもって職を辞そうと思う」と述べて辞職の意向を表明しました。

静岡県の川勝知事は1日、県の新人職員に訓示し、この中で「県庁というのは別のことばで言うとシンクタンクです。毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたりするのとは違って、基本的に皆さんは知性が高い方たちです」などと発言しました。

この発言が、職業差別発言とも捉えられかねないとして波紋が広がり県には、批判や苦情などが殺到していました。

こうした状況を受けて、川勝知事は2日午後6時から記者会見し、「職業差別はありません。職業に、こちらは尊い、こちらは卑しいとかまったくない。職員への励ましのことばがこんなことになった。もし、そのことで不愉快な思いをされたとすれば誠に申し訳ないと思う」と述べました。

その上で「どうしたらいいかと考えたんですけど、ことしの6月議会をもって職を辞そうと思う」と述べて、任期の途中で辞職する意向を表明しました。

川勝知事は、いわゆる「コシヒカリ発言」などみずからの不適切な発言が相次いだ中、去年7月の県議会で不信任決議案が否決されたあとには「今後、不適切な言動があったら辞める」と述べていました。

川勝知事 リニア中央新幹線巡り国に反発 着工認めない状況続く 

川勝知事はリニア中央新幹線を巡り、2017年にトンネル工事による水資源や自然環境などへの影響を懸念して着工に異論を唱え始め、その後は静岡県内での着工を認めず、国への反発を繰り返してきました。

去年、国の有識者会議がJR東海の対策を整理した最終報告をまとめたあとも、工事の着工を認めていない状況が続いています。

JR東海は静岡工区の工事に着手できていないことを理由に、目指してきた2027年の開業を断念していました。

川勝平太氏とは 

川勝平太氏は、京都府出身の75歳。

早稲田大学政治経済学部教授や浜松市にある静岡文化芸術大学の学長などを務めたあと、2009年の静岡県知事選挙で初当選し、現在4期目です。

川勝知事は2021年6月の県知事選挙期間中の集会で、みずからが学長を務めていた大学の学生について「8割ぐらい女の子なんです。11倍の倍率を通ってくるんですから、皆きれいです」などと、女性の学力と容姿を結び付けるような発言をしていたことが明らかになり、その後、謝罪して発言を撤回しました。

また、この年の10月の参議院補欠選挙の応援演説で、対立候補御殿場市長を務めていたことに関連し「あちらはコシヒカリしかない」などと発言したことを受けて、県議会で辞職勧告決議が可決され、川勝知事はその年の12月の給料とボーナスの合わせて440万円余りを返上する意向を示していました。

しかしその後、給与などを返していなかったことが明らかになり、去年7月には県議会で50年ぶりとなる不信任決議案が出され1票差で否決される事態にまで至りました。

川勝知事は、この月の定例会見で、自身の不適切な発言がたびたび問題視されることについて「私の不徳のいたすところだ。常に公人の立場でいる。今度、迷惑をかければ辞職する」と述べていました。

川勝知事のもと副知事務めた静岡市長 “コメント控える”

静岡市の難波喬司市長は「本人の政治家としての決断だと思うのでコメントは差し控えさせていただきます」とするコメントを出しました。

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