県が、今後12年間の健康施策の指針となる「健康ふくしま21計画」の第3次計画をまとめた。生活習慣病との関連性が高いとされ、健康指標の値の悪い肥満者の割合、食塩摂取量、喫煙率の低下の三つを重点課題と位置付けた。
2013年度スタートの第2次計画の実施期間中に、元気に暮らすことができる「健康寿命」は男性で2歳、女性で1歳延びたが、いずれも全国平均より低い。県は、肥満者の割合などの課題が改善されなければ、健康寿命の延びの鈍化や悪化につながる恐れがあるとして危機感を強めている。
健康寿命が延びれば、高齢者が十分に動けなくなったり、家族などの介護の負担が大きくなったりする期間が短くなる。寿命と同様に重要な指標だ。将来への備えとして、肥満などの解消を図っていくことは喫緊の課題だ。
新計画はスローガンに「減塩・禁煙・脱肥満」と盛り込み、当面の課題そのものを強調する形にした。県は、各項目ごとに啓発活動を展開するとしている。懸念されるのは、健康に関する啓発活動は、普段から健康に関心がある層に対する訴求力は高いものの、関心の薄い層には届きにくい傾向があることだ。
関心の薄い層への対策として参考になるのは、禁煙の取り組みだ。本県の喫煙率は21・4%で全国ワーストだが、この20年で9ポイント弱低下している。大幅な低下は、公共施設や市街地などの禁煙化が進み、喫煙できる環境そのものが減ったことが影響しているとみるべきだろう。
県民に健康の保持、増進に向けた肥満解消などの重要性の周知啓発に加え、健康を害する要因を排除した環境をつくることが効果的だ。県は、これまで取り組んできたスーパーや飲食店と連携して提供する料理の塩分量を減らすなどの取り組みに継続して力を入れていくことが大切だ。
新計画では、高齢者の心身の機能を弱らせない施策や、女性特有の健康リスクへの対応強化など、年代や性別の取り組みを挙げている。特に重要なのは、子どもの生活習慣の改善だ。
思春期に肥満状態にある人の多くが、成人以降もそれを解消できないままとなる傾向があるとされている。たばこについても、その害を繰り返し教え、成人しても最初の一本に手を付けないようにするだけで、喫煙率は将来的に下がることが期待される。子どもの生活習慣が将来の健康を左右する。県には家庭教育の充実を促すための工夫も求められる。