「ハラスメントは認定できない」
名古屋芸術大学の複数の女子学生が、4月1日に同大の新学長に就任する芸術学部舞台芸術領域の非常勤講師、来住尚彦氏(63)から「セクハラ被害を受けた」と訴えていた問題。第三者による調査委員会を設置していた同大は28日、HPで調査結果を公表した。
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地元の中日新聞がこの日(28日)、<昨夏に学内のスタジオでミュージカルの自主練習をしていた際、指導を名目に背中や頭をなでられたり、肩を組まれたりした。容姿についての不適切な発言もあった。本来の担当教員は不在で来住氏は見学で訪れたという>と報じた。
同紙の取材に応じた学生は<公演の製作予算が減らされるのではと思って何も言えなかった。ずっと目指してきたミュージカル俳優の夢も考え直さないといけない>と話した。
これを受け、大学側は28日午後6時過ぎ、HPで<一部報道されているとおり、2024年2月28日付けで、次期学長就任予定者が、2023年8月19日に教育活動状況の把握の一環としてミュージカル練習を見学した際にハラスメント行為があったとして、学生の方々より調査依頼がありました>と説明。
外部弁護士2人を選任し、3月中旬、調査依頼をした学生とセクハラを受けたと訴える学生、来住氏、その場にいた職員らにヒアリング調査を実施した。
その上で、<処分するべきハラスメントが行われたとは認定できない、との結論に至りましたことを、ご報告させていただきます>と結論付けた。
同大では今年3月に任期満了で退任する竹本義明学長の後任を巡り、ドロドロの覇権争いが勃発。大学を運営する学校法人「名古屋自由学院」が来住氏を起用したい考えを示していたのに対し、竹本氏は別の特別客員教授を推すなど対立していた。
昨年5月、学校法人側は竹本氏に「学内への侵入を禁止します」と通告し、職務停止と学内への立ち入りを禁止。7月には来住氏を新学長に選出したと発表した。一方の竹本氏は8月、効力の停止と損害賠償1100万円を求める仮処分を名古屋地裁に申し立てた。
■早大卒業後にTBS入社、推進部長に
新学長に担がれた来住氏とは一体、どんな人物なのか。1985年早稲田大理工学部卒後、東京放送(現TBS)に入社。08年には推進部長として、TBSの複合施設「赤坂サカス」の開発に携わった。21年から同大で特別客員教授を務めていた。 TBS時代の13年には、ネットのインタビューに毎日のルーティンについてこう語っていた。 <鏡で自分をちゃんと観て向き合うこと! 我が家には数えたことがないくらい多くの鏡がある。外見だけでなく、疲れていないか?心は大丈夫だろうか?立ち居振る舞い全てを確認する。「鏡の間」にしている部屋もある。また「どうしたらそんなにスタイルを保てるのですか?」と女子アナから聞かれることがある。「脱衣所に全身が映る鏡を置き、隣に自分のなりたいモデルの裸体ポスターを貼って、自分もシャワーの後10分間見比べることだ。」と必ず答える。そうすると脳が勝手に美しい方を判別し覚える、そのようになろうと指示を出すのだ> 新学長には「鏡」じゃなくて、「ガラス張り」の大学運営をしてもらいたい。