宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の劇団員の女性(当時25歳)が2023年9月に死亡した問題で、歌劇団を傘下に置く阪急阪神ホールディングス(HD)と遺族側は28日、歌劇団の上級生らによるハラスメントや、女性に対する安全配慮義務違反があったことを認める合意書を締結した。HDの角和夫会長が遺族に謝罪した。
【図表】亡くなる直前、女性の1日のスケジュールは?
女性は23年9月30日、宝塚市内のマンション敷地内で倒れているのが見つかった。兵庫県警は自殺とみている。
遺族側は当初から、女性が死亡した原因として、長時間労働と上級生らによるパワハラがあったと主張。しかし、歌劇団が11月に公表した調査報告書では長時間の活動による心理的負荷を認めた一方、ハラスメントは確認できなかったと結論づけた。
その後、双方の代理人間で交渉を重ね、12月には遺族側が無料通信アプリ「LINE(ライン)」の送信記録などの証拠を付けて、少なくとも15件のパワハラがあったと主張した。
歌劇団側は24年1月、従来の姿勢を変更し、ハラスメントの存在を認め、謝罪する意向を示した。ただ、遺族側代理人の川人博弁護士は2月に記者会見し、個別の行為を巡って、歌劇団側は半数程度について否認や一部否認を続け、双方で見解に相違があると説明していた。
その後の交渉で、歌劇団側が歩み寄り、交渉がまとまったとみられる。【松室花実、小坂剛志】