25日、記者会見を終え、退室する自民党の二階元幹事長(右)
◆会見の大半は側近が「代弁」
25日午前の自民党本部の記者会見場。幹事長を歴代最長の5年超も務め、この場に何度も立ってきた二階氏は、最側近の林幹雄元幹事長代理に付き添われて「この際、自らの政治責任を明らかにする」として、首相に不出馬を伝えたことを説明した。
政倫審への出席を問われると、林氏がすかさず「いちいち政倫審に出なくても分かっていただける」と代弁するなど、大半の質問に二階氏が答えない異例の形式。会見はわずか10分で打ち切られ、この日も説明責任を果たそうという姿勢は見られなかった。
◆処分を逃れるため「不出馬」?
そんな二階氏の対応に、立憲民主党の石橋通宏氏は25日の参院予算委員会で「二階氏が処分を逃れるために、首相に不出馬を伝えたとの報道がある。これで国民への説明責任を逃れられるわけではない」と追及。首相は「党の手続きに基づいて判断していく」と述べるにとどめた。
二階氏を含む裏金に関わった議員に対しては、党の処分に向けた調整が週内に本格化する。最終決定は4月上旬にも行われる方向で「党則の順守勧告」から「除名」まで、8段階ある基準をどう定め、各議員にどう当てはめるのか。会長だった派閥と自身の政治団体の両方で不記載があった二階氏が身を引く姿勢を示したことで、安倍、二階両派幹部の処分の線引きに差が生じる可能性もある。
◆首相は「岸田派は略式命令」
元会計責任者が立件された岸田派会長だった首相も責任を免れないはずだが「他派閥では会計責任者が公判請求されているが、私の関わった派閥は略式命令になっている」と述べ、安倍、二階両派より悪質性が低いと強調。処分する側として聞き取り調査を自ら行う意欲を示し、実態解明を置き去りにして処分を下すことを既定路線にしている。
立民の石橋氏は「疑惑の当事者が調査するのは国民からすれば冗談みたいだ」と批判。日本維新の会の音喜多駿氏は「処分理由となる裏金づくりの実態を解明し、それに即した処分を下すことが当然。このタイミングで処分は、早期の幕引きを図りたい意図にしか思えない」と指摘した。