九州新幹線20年 JRと沿線で効果持続を(西日本新聞2024年3月25日『』-「社説」)

 九州新幹線の開業で福岡-熊本-鹿児島間の移動時間は大幅に短縮され、人の往来が飛躍的に増加した。その効果を持続させるため、JR九州と沿線自治体は連携をさらに強めてほしい。

 九州新幹線新八代鹿児島中央間の先行開業から13日で20年になった。

 2011年に博多までの全線が開業し、在来線特急で最速3時間40分ほどかかっていた博多-鹿児島中央間は、約3分の1の1時間16分で結ばれるようになった。

 時短効果は目を見張る。開業前の03年と新型コロナウイルスが拡大する前の19年度を比較すると、熊本(新八代)-鹿児島中央間の乗車人員は約3・5倍、博多-熊本間は約1・9倍に増えた。

 山陽新幹線と接続し、鹿児島や熊本から乗り換えなしで関西へ移動できる利便性も人の流れを変えた。

 在来線時代の西鹿児島から博多までの所要時間で新大阪に行けるようになり、新幹線と飛行機を合わせた鹿児島と関西圏の交流人口は約4割も伸びた。

 新幹線開業をきっかけに、鹿児島中央や熊本といった主要駅は装いを新たにした。駅一帯の再開発を呼び込み、街の姿を大きく変えた。とりわけ商業施設とホテルの集積が進んだ。

 コロナ予防の移動自粛で大打撃を受けた乗客数は、観光需要を中心に戻りつつある。通勤・通学圏の拡大も新幹線が地域にもたらした変化の一つに挙げられる。

 九州新幹線の20年は、沿線のにぎわいを高めた点で高く評価してよいだろう。

 ここまでの好調を持続するのは容易でない。九州の人口は減り続ける。外国人客を含め、域外からの利用客を増やすほかない。

 ターゲットは観光客だ。新幹線を使って広域に送客できるように、観光資源の掘り起こしや魅力的なイベントの開催が必要だ。JR九州自治体、観光業界を挙げて工夫を凝らしてほしい。

 新幹線と在来線、バスといった地域交通との接続を改善し、利便性を高めることも欠かせない。

 JR九州のローカル線を巡っては減便、車両や座席の削減といった赤字対策で、サービスが低下しているとの批判もある。沿線住民の声に耳を傾け、新幹線と共存する方策を見いだすべきだ。

 新幹線ネットワークの拡大も課題だ。まず西九州新幹線との接続に道筋をつけたい。

 西九州新幹線は22年に武雄温泉-長崎間が開業したが、武雄温泉から東側はルート、整備方針ともに決まっていない。国と関係自治体は停滞したままの協議を動かすことに努めてもらいたい。

 大分県や宮崎県でも新幹線待望論が高まりつつある。各県だけで検討せず、九州地域戦略会議や九州経済連合会などの場で広域的観点から議論するのが望ましい。