岸田首相、安倍派元幹部4氏を自ら聴取へ…処分に向け不正還流の実態を直接ただす狙い(2024年3月24日『読売新聞』)

 岸田首相(自民党総裁)は自民派閥の政治資金規正法違反事件を巡り、「選挙における非公認」以上の重い処分を科す方向の安倍派元幹部4氏に対し、自ら聴取を行う方針を固めた。26日にも聴取を始め、4月第1週に4氏を含む関係者の処分を決める方向だ。

政治資金問題、河野デジタル相「直ちにけじめを」…処分の必要性強調

左から塩谷元文科相、下村元文科相、西村前経産相、世耕前参院幹事長
左から塩谷元文科相、下村元文科相、西村前経産相、世耕前参院幹事長

 複数の自民幹部が明らかにした。聴取の対象者は、塩谷立下村博文・両元文部科学相西村康稔・前経済産業相世耕弘成・前参院幹事長。首相が聴取に臨むのは、処分に向け、同派で常態化していた派閥パーティー収入の不正還流について、その実態や元幹部としての責任を直接ただす狙いがある。

 聴取には、茂木幹事長や森山総務会長らが同席する。聴取の結果を踏まえ、党は党紀委員会を開き、処分を正式に決定する。これに合わせ、首相は記者会見を行い、処分の理由などについて説明する予定だ。

 茂木氏は23日、訪問先の石川県輪島市で安倍派元幹部への聴取に関し、「まだ事実関係のはっきりしない部分がある。確認する努力はさらに必要だ。早急に政治責任のあり方、けじめについて結論を出したい」と記者団に語った。

 自民執行部は2月、4氏を含め、政治資金収支報告書に不記載があった所属議員82人らに対し、森山氏を中心とした態勢で弁護士を同席させて聞き取り調査を行った。今回の4氏への聴取では、2022年8月、安倍元首相の死去を受けて行われた協議の内容などについて、4氏が衆参の政治倫理審査会で行った説明を踏まえて確認し、自身の政治責任に対する認識などを尋ねるものとみられる。

 安倍派の不正還流を巡っては、安倍氏が22年4月、当時会長代理の塩谷、下村両氏、事務総長の西村氏、参院安倍派会長の世耕氏に取りやめを命じたとされる。しかし、7月に安倍氏が亡くなり、8月に4氏らが対応を協議した後も還流は継続された。自民執行部は、還流の取りやめに向けて積極的に動かなかった4氏の政治的、道義的責任は重いとみている。

 4氏の処分は「選挙における非公認」か、さらに重い「党員資格の停止」を軸に検討されている。

「政治資金問題」最新ニュース