安倍派の塩谷氏・下村氏・西村氏・世耕氏、「非公認以上の重い処分」自民が検討…岸田首相は対象外(2024年3月23日『読売新聞」)

 自民党は、派閥の政治資金規正法違反事件を巡り、安倍派で資金還流への対応を協議した幹部会合に出席した塩谷立下村博文・両元文部科学相西村康稔・前経済産業相世耕弘成・前参院幹事長の4氏に対し、「選挙における非公認」以上の重い処分を科す方向で調整に入った。岸田派では裏金作りがなかったとし、同派会長だった岸田首相(党総裁)は処分の対象としない方向だ。

自由民主党本部
自由民主党本部

 複数の自民幹部が明らかにした。首相は21、22両日、党執行部のメンバーと相次いで面会し、処分の方向性について協議した。

 派閥パーティーの収入の還流分を政治資金収支報告書に記載しなかった議員は82人確認されているが、党執行部は、安倍派幹部だった4氏が不正還流を止められる立場にありながら対処しなかったことを重視。政治的、道義的責任が最も大きいと判断した。不記載があった他の議員についても、どこまで処分対象にするかを含めて検討を急ぎ、4月上旬にも決定する。

 安倍派では、安倍晋三・元首相が2022年4月、会長代理だった塩谷、下村両氏、事務総長だった西村氏、参院安倍派会長だった世耕氏を集め、違法な裏金作りにつながる還流中止を指示した。だが、7月の安倍氏の死去後、4氏は8月に集まって対応を協議し、還流中止を決めなかった。

 党規律規約が定める処分は8段階だ。執行部内では、4氏に関し、「少なくとも次の選挙で公認はできない」との意見が大勢で、4番目に重い「非公認」か、さらに重い「党員資格停止」を軸に検討する。復党が困難な「除名」は除外する方針で、「離党勧告」も難しいと見る向きが多い。

 塩谷氏ら4氏は東京地検特捜部からは不起訴とされた。立件されていない議員に処分を科すのは異例だ。

 一方、岸田派では派閥の収支報告書に不記載があり、元会計責任者が立件されたが、派閥からの資金の流れは派閥・所属議員双方の収支報告書に記載されていた。党は安倍派と比べて悪質性が低く、首相の責任を問う事案ではないと整理した。茂木幹事長は22日、金沢市で記者団に「不記載がない議員を(処分)対象にすることはない」と述べた。

 還流は二階派でも行われ、二階俊博・元幹事長の秘書は二階氏の収支報告書への不記載で略式起訴された。党は、二階氏の処分についても慎重に判断する構えだ。

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