自民党は、派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を巡り、安倍派(清和政策研究会)で資金還流の継続が議題になった令和4年8月の協議に出席した塩谷立元文部科学相、下村博文元政調会長、西村康稔前経済産業相、世耕弘成前参院幹事長の4氏に対し、「選挙における非公認」以上の重い処分を科す方向で調整に入った。
23日、複数の自民幹部が明らかにした。
自民執行部は週明けに4氏ら安倍派幹部に2度目の事情聴取を実施した上で、4月の岸田文雄首相(党総裁)の訪米までに最終的な処分の内容を決定する方針だ。
自民の党則で定める党紀委員会の処分は、重い順に、①除名②離党勧告③党員資格停止④選挙での非公認⑤国会・政府の役職辞任勧告⑥党の役職停止⑦戒告⑧倫理憲章や党則などの順守勧告―の8段階となっている。
安倍派では令和4年4月、会長だった安倍晋三元首相が塩谷、下村、西村、世耕の4氏に資金還流の中止を指示していたが、同年7月の安倍氏の死後、一転して還流が復活した。今月1日の衆院政治倫理審査会で塩谷氏は、4氏で4年8月に還流のあり方を再協議した際に復活させる方向で話し合ったと説明した。
他の3氏はこの再協議では「結論が出たわけではない」(下村氏)と主張しているが、自民執行部では「4氏には再協議の場に居合わせた責任がある」(幹部)との意見が大勢で、少なくとも4番目に重い「非公認」以上の処分を科す方向だ。最も重い除名は見送る。一方、パーティー収入の還流分を政治資金収支報告書に記載しなかった安倍派と二階派(志帥会)の議員計約80人には戒告などを科す案が浮上している。
党内には元会計責任者が立件された岸田派(宏池会)の会長だった首相の責任を問う声もあり、執行部は首相の処分の必要性についても慎重に検討している。