首都ワシントンの中心部にあるスポーツ賭博の券売所には21日、午前中から賭けをする人たちの列ができていた。賭けの対象は大リーグ、バスケットボールのNBA、プロサッカー、アイスホッケーのNHL、大学バスケなどだ。
年齢確認のために身分証明書を提示して入場し、十数台あるタッチパネル式の券売機の前に立つと、この日行われる試合が表示されていた。NBAだとチームの勝ち負けから得点差、「試合開始から何秒以内で得点が入るか」「交代選手が何点以上得点するか」など1試合につき20近くの項目を賭けることができる。
バスケットボールとラグビーの試合に賭けたというジョン・ハウさんは「これもスポーツの一部のようなもの。気軽に楽しんでいる」と話す。ほぼ毎日来るというタリクさんは「今日は300ドル(約4万5000円)賭けた。8000ドル勝ったこともあるし、同じくらいの負けもある。賭けることが習慣になっている」と言う。
◆合法か違法か、どの州で賭けたか次第
米国で現在、スポーツ賭博を認めているのは首都ワシントンと38州。税収増を狙う各州が合法化を進め、オンライン導入で急成長した。米ゲーミング協会によると、2023年のスポーツ賭博の収益は前年より44.5%増の約109億ドル(約1兆6000億円)に上った。
一方、西部カリフォルニア州など、ギャンブル依存の危険性を問題視し、違法とする州もある。
米メディアによると、合法と違法とは、どの州でスポーツ賭博をしたかで線引きされる。例えば、合法の州に行けば、対象年齢以上の人は居住地に関係なく賭けができる。オンラインの場合は衛星利用測位システム(GPS)などで位置情報が把握され、合法の州でアプリを使うことが求められる。
水原氏は、スポーツ賭博が認められていないカリフォルニア州で、違法なブックメーカー(賭け屋)を利用したことが問題となった。合法の州で、自身が仕事で携わる野球以外の競技に賭けていれば、スポーツ賭博自体は問題にならなかったとされる。
◆成人の約1%、250万人が重度の依存症
メリーランド大医学部によると、米国の成人の約半数にスポーツ賭博の経験があり、若い男性に依存症が多いとされる。賭ける人の多くが対象のスポーツの経験者であることも特徴で「自分には知識がある。結果が読める」と、のめり込む傾向が強いという。
スマートフォンを操作する男性(イメージ)
全米ギャンブル依存症対策協議会のケイト・フーブル広報責任者は「ギャンブル依存症は心の病であり、危険性は誰にでもある」と指摘。成人の約1%に当たる250万人が重度の依存症状態と推定され、同協議会への相談件数は前年度より3割増えたという。
フーブル氏は各州でスポーツ賭博の合法化が進む中、「収益の一部を依存症の予防や治療に回すなどの対策が必要だ」と訴えた。
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