女性ゼロ議会 解消へ思い切った策を(2024年3月21日『秋田魁新報』-「社説」)

 県内25市町村議会のうち、鹿角市藤里町、羽後町、東成瀬村の4議会は女性議員がまったくいない「女性ゼロ議会」となっている。このうち藤里町と羽後町の両議会は19日に町議選が告示されたが、女性の立候補は今回もなかった。

 羽後町議会は2004年の改選で女性議員がいなくなり、それ以降、ゼロが続く。今回は女性候補擁立を検討する動きもあったが、家族の理解が得られないなどの理由から実現に至らなかったという。藤里町議会は1963年以降、半世紀以上にわたり女性議員ゼロの状況が続いている。

 多様な意見を政治に反映させる上で、女性議員の存在は欠かせない。女性の政治参加が進むよう、抜本的な対策が求められる。

 2018年施行の「政治分野の男女共同参画推進法」は、国会や地方議会の選挙で候補者を男女均等とするよう各政党に促している。だが県内では県議と25市町村議を合わせた地方議員のうち、女性の占める割合は11・2%にとどまっているのが現状だ。

 内閣府の調査では、女性が立候補を断念した理由として、家庭生活と選挙運動を両立することへの不安以外に、性的な発言を浴びせられる嫌がらせや、個人への中傷があったといったケースも挙げられている。これでは真のジェンダー平等は遠いままだ。

 また、総務省の調査によれば、女性議員が多い地方議会ほど、選挙での無投票が少ない傾向があるとされる。現に、今回の藤里町議選は定数10に対し立候補同数で無投票当選が決まった。女性の進出を議会活性化のバロメーターと捉え、女性が政治参加しやすい社会状況をつくっていく必要がある。

 住民の代表である議員の男女比が人口構成から遠く離れている現状は、そもそも異常とみるべきだ。中高年の男性に偏りがちな議会の構成を変えていくにはどうしたらいいかを、真剣に考えなければならない。

 まずは本会議や委員会への自宅からのオンライン出席や、議会開会中の授乳のための休息など、女性が議員として活動しやすい仕組みを積極的に取り入れていきたい。

 候補者や議席の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の導入も、一考に値するのではないか。「男性への逆差別になりかねない」などの慎重論もあるが、政治分野への女性進出がこれだけ停滞している状況を踏まえれば、職場での働き方改革同様、従来の常識を超えるような思い切った取り組みが必要だ。

 議会は、さまざまな属性の人で構成する多様な議論の場であってこそ、その役割が十分に発揮される。女性ゼロ議会を一日も早く解消するとともに、全ての地方議会での女性参加を大きく前進させ、変革を図っていきたい。