会長だった安倍晋三元首相が22年4月、下村氏と塩谷立元文部科学相、西村康稔前経済産業相、世耕弘成前参院幹事長らを集めた会合で還流廃止を指示したが、下村氏は「適切な判断だと思った」と振り返った。一方で、「特に疑問も感じなかった」と当時の違法性の認識を否定した。
安倍氏の死去後の同年8月、下村氏ら幹部は、還流の代わりに議員個人のパーティー券を派閥が購入する案を協議。下村氏はこの代替案を「合法的」と認めたものの、この時点でも「還付の不記載が違法とは全く認識していなかった」と述べた。代替案に関しては「最初に切り出したのが誰かは私も承知していない」と説明。塩谷、西村、世耕の3氏とも自身による発案を否定している。
安倍派で8人目となる下村氏の質疑でも幹部間の証言の食い違いは解消されず、どのように還流が続くことになったのか、責任の所在は不明なままだ。この日の政倫審では、日本維新の会の岩谷良平氏と共産党の宮本徹氏が、虚偽の証言が罪に問われる証人喚問の実施を求めた。(三輪喜人)