安倍派幹部ら10人出席してもサッパリだった政倫審 裏金問題、このまま幕引きするつもり?(2024年3月18日『東京新聞』)

 
 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、安倍派の下村博文政調会長は18日、衆院政治倫理審査会に出席した。下村氏はパーティー収入のキックバック(還流)復活を協議した2022年8月の幹部会合に出席していたが「(復活を)どんな形で誰が決めたのか、全く承知していない」と関与を否定した。裏金事件で政倫審に出席した自民党議員は計10人となったが、還流復活の経緯を含め実態解明は進まないまま。自民は関係者の国会での説明に区切りを付け、処分を急ぎ、事件の幕引きを図るとみられる。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院の政治倫理審査会で、発言する下村博文氏=18日、国会で(代表撮影)

自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会で、発言する下村博文氏=18日、国会で(代表撮影)

 会長だった安倍晋三元首相が22年4月、下村氏と塩谷立文部科学相西村康稔経済産業相世耕弘成参院幹事長らを集めた会合で還流廃止を指示したが、下村氏は「適切な判断だと思った」と振り返った。一方で、「特に疑問も感じなかった」と当時の違法性の認識を否定した。
 安倍氏の死去後の同年8月、下村氏ら幹部は、還流の代わりに議員個人のパーティー券を派閥が購入する案を協議。下村氏はこの代替案を「合法的」と認めたものの、この時点でも「還付の不記載が違法とは全く認識していなかった」と述べた。代替案に関しては「最初に切り出したのが誰かは私も承知していない」と説明。塩谷、西村、世耕の3氏とも自身による発案を否定している。
 安倍派で8人目となる下村氏の質疑でも幹部間の証言の食い違いは解消されず、どのように還流が続くことになったのか、責任の所在は不明なままだ。この日の政倫審では、日本維新の会の岩谷良平氏共産党の宮本徹氏が、虚偽の証言が罪に問われる証人喚問の実施を求めた。(三輪喜人)