高校野球 センバツ開幕 谷村新司さんを追悼「今ありて」の作曲(2024年3月18日『NHKニュース』)

ことし開場から100周年を迎える甲子園球場センバツ高校野球が18日、開幕し、開会式で、出場32校の選手たちが力強く行進しました。

記事後半では青森山田高校のキャプテン、橋場公祐選手が務めた選手宣誓の全文もお伝えしています。

センバツ開会式 32校が入場行進

センバツは、ことしで96回目を迎え、18日は午前9時から開会式が行われました。

式では、ことしの入場行進曲に決まった、あいみょんさんの「愛の花」の演奏に合わせて、去年の優勝校で、史上4校目の大会連覇を目指す山梨学院を先頭に出場32校の選手たちが南から北の順に力強く行進しました。

 

能登半島地震で被災した石川県から出場する日本航空高校石川と星稜高校の選手たちも甲子園の土を力強く踏みしめ、スタンドからひときわ大きな拍手が送られました。

 

続いて、選手たちが外野に整列したあと地震で犠牲になった人たちに黙とうがささげられました。

 

青森山田 橋場公祐 主将

そして、青森山田高校のキャプテン、橋場公祐選手が「私たちにできることは目の前の白球をがむしゃらに追いかけ続けること、そして、全力で野球を楽しむことです。センバツを次の100年に向けた新たな一歩とするべく、全身全霊をかけて戦い抜くことを誓います」と力強く選手宣誓しました。

 

大会は、2日の休養日を含めて、13日間の日程で開かれ、順調に進めば決勝は今月30日に行われます。

  • 注目

【選手宣誓 全文】青森山田 橋場公祐 主将

青森山田のキャプテン、橋場公祐選手が務めた選手宣誓の全文です。

今ありて、未来も扉を開く。
今ありて、時代も連なり始める。

1924年、第1回全国選抜中等学校野球大会として、春のセンバツ大会が開催されました。あの日から100年。われわれ高校球児の甲子園大会に対する夢や憧れは、長年の時を超えても変わることなく、今もなお、夢舞台であり続けています。

夢にまで見たここ甲子園球場に立ち、これまでの先輩方が築き上げられた歴史と伝統の重さを身にしみて感じています。同時に、私たちは唯一無二の仲間とともに大好きな野球に打ち込める今に、喜びをかみしめています。

ことしの元日に、能登半島沖で大きな地震が発生しました。家族団らんを過ごしている中での激しい揺れに私たちは恐怖と深い悲しみに襲われました。被災地では現在も苦しみと困難の多い生活を余儀なくされています。

私たちにできることは目の前の白球をがむしゃらに追い続けること、そして、全力で野球を楽しむことです。

きょうから始まるセンバツ大会を次の100年へ向けた新たな一歩とするべく、全身全霊をかけて戦い抜くことを誓います。

きょうまでの100年、きょうからの100年。

谷村新司さんを追悼「今ありて」の作曲

 

開会式の前には、センバツ高校野球の大会歌「今ありて」の作曲を手がけ、去年10月に亡くなった谷村新司さんを追悼しようと、甲子園球場で歌う谷村さんの映像が大型ビジョンに流されました。

1993年に発表されたセンバツ高校野球の大会歌「今ありて」は作詞した阿久悠さんの要望で谷村さんが作曲を手がけました。

「ああ、甲子園」という印象的なフレーズは、谷村さんが歌詞に入れることを望んだということで、春の訪れを感じさせる曲として、長年、高校球児や高校野球ファンに親しまれています。

谷村さんは2008年の開会式で地元の高校の生徒や卒業生とともに甲子園に歌声を響かせていて、18日はこの時の映像がおよそ4分、放送されました。2018年には「今ありて」が開会式の入場行進曲に選ばれました。

《開会式後 選手など談話》

選手宣誓 青森山田 橋場公祐主将「最後まで言えて良かった」

選手宣誓を務めた青森山田高校のキャプテン、橋場公祐選手は「宣誓をすることが決まってから、毎日夕食後に3回、練習していました。めったにあることではないので誇りに思いますし、すごく達成感があってやってよかったなと思います。お客さんがたくさんいて、頭が真っ白になるのではないかと思ったけど、最後まで言えて良かった」と話していました。

また、去年10月に亡くなった谷村新司さんが作曲を手がけたセンバツ高校野球の大会歌「今ありて」の歌詞を宣誓のはじまりに入れた理由については「谷村さんの思いや、甲子園の歴史が曲に込められてると思うので使わせてもらいました」と話しました。そのうえで「高校生らしい全力プレーが大事だと思うのでグラウンドで全力で戦っている姿を見せたい」と決意を語りました。

日本航空石川 寳田一慧主将「被災地の人たちに何かを届けたい」

開会式を終えた日本航空高校石川のキャプテンの寳田一慧選手は「やっとこの日が来たなと実感しています。入場しながら大きな拍手が聞こえ、支えてくれたたくさんの人たちの思いが浮かび上がりました」と振り返りました。そして「感謝の気持ちを持って自分たちの野球をし、被災地の人たちに何かを届けたい」と意気込んでいました。

連覇目指す山梨学院 中原義虎主将「一戦一戦全力で」

去年のセンバツ山梨県勢として初優勝し、史上4校目の大会連覇を目指す山梨学院のキャプテン、中原義虎選手は開会式を終え「選手宣誓を目の前で聞き、いよいよ始まるんだと感じました。自分たちはチャレンジャーだという気持ちを持って、一戦一戦全力で臨みます」と意気込みを語りました。

開会式の司会 古田桃香さん「障害者は無限の可能性」

開会式で司会を務めた岐阜県の県立岐阜北高校2年、古田桃香さんは視力が弱く、原稿を見やすくするために大きく印刷し、日ざしから目を守るため、帽子をかぶって臨みました。

開会式を終え、古田さんは「司会の依頼を受けてから、きょうのことを何度も思い描いてきたので、本当に幸せです。生まれてきて良かったです」と涙をにじませながら話していました。また「自分の姿から、支えがあれば障害のある人も多くの活躍ができ、障害者は無限の可能性を秘めているのだと感じて欲しいです」と思いを語りました。