緊張感漂う自民党大会は「お通夜状態」 友党・公明党から異例の苦言、ガンバロー三唱なく(2024年3月17日『産経新聞』)

 
自民党大会で総裁演説を行う岸田文雄首相=17日午前、東京都港区(春名中撮影)

17日に開かれた自民党大会は、派閥のパーティー収入不記載事件を受けて例年のお祭りムードは鳴りを潜め、緊張感が漂った。岸田文雄首相(党総裁)は演説で「深刻な政治不信を引き起こした」などと大半を謝罪の言葉に充て、4月28日投開票の衆院補欠選挙選挙に向けたガンバロー三唱などもなかった。

来賓として訪れた公明党山口那津男代表は、あいさつで一連の不記載事件に言及し、自民の説明責任について「国民の納得感が得られるところには至っていない」などと苦言を呈した。

会合後、片山さつき元地方創生担当相は記者団に「いつもは盛り上がる食事会もなかった。非難を浴びている党だから簡素にしたのだと思う。反省の上に立った適切な規模ではないか」と運営に理解を示し、「ある意味ここをボトムとして、なんとかしていこうという気持ちだ」と語った。

石川昭政衆院議員も「淡々と終わった党大会だった。(令和5年の)党員数が前年から3万人も減るという事態にもなって、党員の自民離れも感じた」と危機感をにじませた。ある党中堅は、今回の党大会について「お通夜状態だった。党一丸となって選挙を戦う雰囲気もない。『政治とカネ』を巡る問題でけじめがついていないからだ」と冷ややかに語った。

出席した地方議員も、最近高まっている政治不信に不安を募らせた。

宮城県連青年局長の遠藤隼人県議は「おふざけの全くない党大会だったが、当然だろう。政治不信を招いている中で、党青年局も(露出の多い衣装の女性ダンサーを招いた党和歌山県連主催の会合で)恥ずかしい事態を引き起こした」と述べた。一方、首相の演説は「党を立て直す意味でも外交や防衛に関しても力強かった」と評価した。

今回の党大会では、党再生の原動力として、次期衆院選に出馬を予定する新人候補も紹介された。

衆院東京18区から出馬予定の福田かおる氏は、壇上から決意表明に臨んだ。福田氏は会合後、「街頭活動を通じて政治不信を引き起こしてしている失望感を強く感じる一方、古い慣習にとらわれずに自民を変える原動力としても期待も寄せてもらっている。日本を良くしたいと思い政治家を志した原点を大事にしたいと改めて思う党大会だった」と述べた。(奥原慎平)

 

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