岸田首相、露出多い女性ら招いた自民党懇親会は「不適切で遺憾」(2024年3月15日『BBC News』)

岸田首相、露出多い女性ら招いた自民党懇親会は「不適切で遺憾」

 

自民党の議員らが昨年11月に和歌山県で開いた集まりで、下着のような衣装しか身に着けていない女性ダンサーらが招かれていたことが明らかになり、国会で野党が追及する事態となっている。このイベントを準備した県議は離党し、参加した衆院議員らも党の役職を辞任。党首の岸田文雄首相は15日の国会で、「極めて不適切であり、誠に遺憾だ」と述べた。

報道によると、この集まりは自民党若手議員らの懇親会で、党和歌山県連が準備し、和歌山市内のホテルで開かれた。懇親会の前には、「ダイバーシティー(多様性)」をテーマに、党青年局の近畿ブロック会議が開かれた。

懇親会の様子だとされる流出映像では、露出の多い女性が参加者の膝の上に座っている。両者の間ではチップの紙幣が口移しで渡されたとされる。紙幣が女性らの衣装の間に差し込まれることもあったという。

懇親会を準備した党和歌山県連青年局長の川畑哲哉県議は今月11日、ダンサーを招いた理由について、「多様性、ダイバーシティーというところの、しっかりとテーマを持って、問題提起としてインパクトがあるか、いろんな面から検討して、件のダンサーをお招きしました」とメディアに説明。当時の状況について、「私の想定を超えた不適切な状況になっている」と感じていたと話した。

川畑県議は同日、党県連に離党届を出し、受理された。

党青年局は12日に謝罪。懇親会に参加した衆院議員の藤原崇局長(衆院岩手3区)と中曽根康隆局長代理(群馬1区)は、いずれも役職を辞任した。

■「不適切で遺憾」と岸田首相

13日には参院予算委員会でこの問題が取り上げられ、岸田首相が「総理の目指している多様性と一致しているのか」などと問いただされた。

岸田氏は、「私の内閣が目指す多様性とは全く合致しない」、「私の内閣が目指すのは、全ての方が生きがいを感じ、尊厳が損なわれることなく多様性が尊重される、包摂的な共生社会だ」と答えた。

また、懇親会の費用に公費は使われていないと説明した。

15日の同委員会でも改めて質問されると、岸田氏は「極めて不適切であり、誠に遺憾だ」と述べた。

■女性議員を増やそうとする中で

自民党をめぐっては、最大派閥の清和政策研究会(安倍派)が関与した、政治資金集めのパーティー絡みの「裏金」問題など、スキャンダルが相次いでいる。

露出の多い女性らが関係した今回の問題は、男性が圧倒的多数の日本の政界に女性を増やそうと、同党が取り組もうとしている矢先に起きた。岸田内閣の女性閣僚は過去最多に並ぶ5人となっている。

このところの内閣支持率は、2012年に自民党が政権に返り咲いて以降で最低レベルで推移している。14日に発表された時事通信による3月(8~11日)の世論調査では、支持率は18%だった。

(英語記事 Japan PM Kishida slams ruling party event with scantily-clad dancers)

(c) BBC News

 

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