自民党を揺るがしている青年局近畿ブロックの懇親会での「過激パーティー」問題。懇親会出席者と女性ダンサーがチップのお札を口移ししているように見える写真とともに産経新聞のニュースサイトが報じたことで衝撃を与えたが、なぜ参院政倫審(政治倫理審査会)直前のタイミングで画像が流出したかが、揣摩憶測を生んでいる。
本誌・週刊ポストはこの画像流出の経緯について重大証言を得た。自民党和歌山県連会長の二階俊博・元幹事長の側近で、和歌山県議会議長を務めた藤山将材・県議が本誌の取材に応じた。 「私がメディアに流したわけではありませんよ」 藤山氏はそう断わったうえで、この間、県連内部で何が起きていたのかの経緯を語った。
「こんなん外に出たら大変なことになるでしょう」
「11月18日の懇親会でのハレンチ騒ぎは、地元では直後から問題になっていました。昨年12月末頃、懇親会の一連の動画を入手した知人から、『けしからん。なにしとるんだ』とお怒りの連絡が来ましてね。『鉄槌を下すんや。(マスコミに)言うたる』とたいへんな剣幕でした。
ちょうど政治とカネの問題が炎上していた時ですから、こんなものが世に出たら自民党は無茶苦茶になってしまう。私はどうか収めてもらえませんかとお願いに行きました。
ダンサーの件は青年局のメンバーは全然知らされずに、和歌山県連青年局長だった川畑君(川畑哲哉・県議)が単独で連れてきたことがわかっていたので、県青年局長に辞任してもらうのでなんとか収めてもらえませんかというと、知人は『それやったらわかった』と。それで人を介して川畑君に伝えて、辞任を促してもらったんです」
しかし、川畑氏は辞任しなかった。そこで藤山氏は世耕弘成・前自民党参院幹事長の事務所所長と面会した。川畑県議は世耕氏の元秘書である。 「同僚議員たちからも促してもらったが、川畑君の辞任しない意思は変わらないので、今年2月になって、所長の方に動画を見せました。世耕先生の秘書の方も映っているから、『こんなん外に出たら大変なことになるでしょう』と。
もう世耕先生から彼に引導を渡してもらわんことには、誰も川畑君を辞めさせることができないとお願いしたんですよ。しかし1週間ほどして、世耕先生は“彼は事務所を辞めた人間だから私から辞めろとは言えない”と話しているという返事をもらいました」(藤山氏)
そのまま3月になった。
「タイムリミットやで」
「最後、3月に入ってお怒りになっている知人から、『いつまで待たせるんだ。どうなってるんだ』と電話があって、『もう明日には動画を(マスコミに)持って行く』とおっしゃるんで、『あと1日猶予をください』と言って待ってもらって、私自身が直接、川畑君に話をしたんですよ。『もうタイムリミットやで』『これが世の中に出た時の影響をわかってる? それでも辞めないんやね』と。
辞めないなら僕はこの件から手を引くから、あとは自分で勝手に責任取れよと伝えた。川畑君は『青年局の局長としての職責を果たします』と言うんで、じゃあ、先方にもそうお伝えしますよと返した。それで記事が出たわけです」(藤山氏)
その結果、川畑氏は「迷惑をかけた」と自民党を離党した。
藤山氏は「私はもう早くに青年局を卒業してますんで、懇親会には出ていませんが、ほんまに彼はどんだけの人に迷惑をかけたんやっていう話ですわ」と証言を終えた。
この藤山証言についてぶつけたが、世耕事務所から締め切りまでに回答はなかった。一方、渦中の川畑県議からは、問題の経過について詳細な証言が得られた。3月18日配信予定の後編でレポートする。
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