自民刷新本部急きょ開催、「スケジュールありきだ」反発受け…「森元首相ら聴取」求める意見も(2024年3月15日『読売新聞』)

自民党の政治刷新本部であいさつする岸田首相(中央)。右は麻生副総裁、左は茂木幹事長(14日午後、自民党本部で)=源幸正倫撮影

 自民党は14日、党本部で政治刷新本部の会合を開き、派閥の政治資金規正法違反事件を受けた党改革案について改めて議論した。7日の会合で執行部は党則改正案などについて一任を取り付けていたが、「議論が不十分」との反発が収まらないことから急きょ開催した。党内では「幕引きを急ごうとするあまり、手続きがおろそかになっている」との指摘が出ている。

 

 「多くの皆さんから声を聞いてもらいたいという強い声が出され、こういった場を持たせていただいた」

 岸田首相(党総裁)は会合の冒頭でこう述べ、党内の幅広い意見に耳を傾ける姿勢を強調した。

 刷新本部がわずか1週間で再び会合を開いたのは、所属議員全体に関係する党則改正案などについて、性急に決定したとの批判があったためだ。

 刷新本部は改革案の検討を非公開の作業部会に委ね、議論が党全体に公開されたのは7日の会合が初めてだった。その日の会合は2時間弱で「大筋了承」を意味する一任取り付けへと進み、「納得できない」と不満が噴出。執行部からも「こんなやり方でいいのか」と疑問の声が出ていた。

 14日の会合では、安倍派元幹部らに対し「何らかの処分がなければ地元で説明できない」と責任の明確化を求める声が複数上がった。同派に影響力を維持する森喜朗・元首相らの聞き取りを求める意見も出た。首相は対象者を明言せず、「関係者にしっかり話を聞きたい」と語ったという。

 派閥規制を巡っては、政治資金パーティー政治団体に開催が許可されていることから、派閥の政治団体化を禁止すべきだとの主張もあった。

 派閥から所属議員に還流し、裏金化されていた資金については、野党から「脱税ではないか」と批判されている。党内には還流資金について「政治活動に使わなかった分は雑所得として税務申告すべきだ」(後藤茂之・前経済再生相)との声があり、会合では納税案も浮上したという。党内では、還流資金の相当額を被災地などに寄付する案も取りざたされている。

 とはいえ、この日の会合で出た意見は、17日の党大会で正式決定される党則改正案などに盛り込まれない方向だ。党幹部は「既に手続きは進んでおり、今日の会合はそれをひっくり返すためのものではない」と語る。党内には不満がくすぶっており、中堅議員は「党大会で区切りをつけようと、スケジュールありきで結論を急いだ結果だろう」と嘆息した。